「海水が高くなっているので流れにくい」川の氾濫なしでなぜ再び大規模冠水は起きたのか 原因は「バックウォーター現象」

台風10号の影響で静岡県内は、大雨に見舞われ、各地で冠水などの被害が相次ぎました。2022年の台風15号で大規模冠水に見舞われた静岡市清水区鳥坂地区では、再び冠水が発生しました。前回は起きた川の氾濫ですが、今回はなし。なぜ、冠水は起きたのでしょうか。

<社会部 山本太朗記者>
「静岡市清水区の鳥坂です。29日の雨の影響で、道路に土が溜まりぬかるんでいる状態です。29日の雨の影響で、水没した車が今も停まっています」

近くのラーメン店の店主は、街が水浸しになる様子を目の当たりにしていました。

<ラーメン店店主 西川浩次さん>
「これが午後4時半くらいで、これが午後9時くらいです。さっきの車(が浸かった)」
Q雨はずっと降っていた?
「だいたい降っていた」

今回、大規模な冠水が発生した場所のひとつが静岡市清水区の鳥坂地区。街なかを流れる巴川沿いに位置する住宅街です。

<鳥坂地区でラーメン店を営む 西川浩次さん>
「帰ろうしたけど、道がダメで、帰れないので、裏のホテルに泊まった。2年前は、配電盤の下ぐらいまでは、水がきた」

2年前に発生した台風15号では、大量の雨によって巴川が氾濫。静岡市清水区の鳥坂地区を中心に冠水し、床上浸水が相次ぎました。ただ、今回の台風10号では巴川は氾濫していません。なぜ、29日も同じ地域で大規模な冠水が起きたのでしょうか。

<静岡大学防災総合センター 北村晃寿教授>
「巴川の川の流れが、海水が高くなっているので流れにくい。『バックウォーター現象』により冠水したと考えられます」

「バックウォーター現象」とは、雨などで本流の水かさが増し、支流の水の流れがせき止められてその水位が上がる現象です。

静岡市では、29日午後6時頃までの1時間に69.5ミリの非常に激しい雨が降りました。実はこの時、巴川が流れ込む清水港は満潮に近い時間帯。潮位が高く、巴川の水は流れにくくなっていました。結果的に支流の流れを受け止めきれず、地域一帯で内水氾濫を起こしていたとみられます。

気象台は、31日午前中にかけて線状降水帯が発生する恐れもあるとしていて、北村教授は一層の警鐘を鳴らします。

<静岡大学防災総合センター 北村晃寿教授>
「9月1日と2日は2年前と同じ海面の高さになるので同規模の雨がこのタイミングで降ったら2年前と同じ規模の洪水被害が起きると予想されます。十分警戒する必要があります」

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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