2022年8月、消防隊員1人が殉職した静岡市葵区のビル火災をめぐり、警察は静岡市消防局の当時の小隊長の男性らを業務上過失致死などの疑いで書類送検しました。
8月で火災から2年となる中、責任の所在が少しずつ明らかになりつつあります。
<田島かのん記者>
「火災からまもなく2年が経過します。2年経った今でも、こちらは空き店舗となっています。このビルで一人の消防士の命が奪われました」

市民の命を守るべく消火活動にあたった隊員の殉職。火元となった3階は現在も工事が行われています。

2022年8月、静岡市葵区呉服町のビルの飲食店で発生した火災では、消火活動にあたっていた静岡市消防局の男性(当時37歳)が死亡しました。警察は8月2日、男性が所属する部隊の当時の小隊長の男性(40)を業務上過失致死の疑いで書類送検しました。
現場の安全を管理する立場でありながら、注意義務を怠り男性を死亡させたとされています。
<静岡市消防局 伴野泰造警防部長(当時)>
「現時点で活動に対しては問題なかったと理解しております」
当初、活動に問題はなかったとしていた静岡市消防局。
しかし一転して、本来命綱となる隊員同士をつなぐロープを使わずに進入していたことが活動基準に違反していたとして、今回書類送検された小隊長の男性を減給の懲戒処分としています。

また出火原因は、火元の飲食店の従業員がたばこの吸い殻を消火不十分のままごみ箱に捨てたこととされていて、警察は元店長の男性(35)を業務上失火の疑いで書類送検しました。
元店長はSBSの取材に対して、1か月ほど前に警察の事情聴取があったことを明かし「失火については事実であり、自分がしっかりしていればよかった。従業員に教育していれば起きなかった」と反省の言葉を述べました。
一方で、消防に対しては「一番初めに火元を伝えたのに別の場所で火元を探していた。最初から伝えたところに行ってくれればここまで大規模な火災にならなかった」と当時の現場での活動に疑問を呈しました。
静岡市消防局は職員の書類送検を受けて「消防活動中の事故を再び発生させることがないよう、職員ひとりひとりに対して安全最優先の意識を浸透させ、組織をあげて安全文化醸成の一層の強化に努めて参ります」とコメントしています。
