「外国人はほとんど登録してくれる」日本人は半分以下…富士山で初導入「事前登録システム」浸透は 静岡と山梨で異なる登山対応
夏山シーズンが幕を開け、安全な富士登山を目指して、静岡と山梨でまったく異なる対策をとる年となりました。登山者数を上限4000人に制限することを決めた山梨に対して、数の制限をしない代わりに登る人すべてに事前登録を求める静岡県。果たして、登山客には浸透しているのでしょうか。
<東部総局 金原一隆記者>
「静岡県が今年初めて導入した事前登録システム。その目的は、『富士登山のルールとマナーを学んだ人だけが登る』という安全対策です」
富士山の静岡県側の3つの登山道は7月10日午前9時に開き、多くの登山者が山頂などを目指しました。
<須走口五合目 東富士山荘 米山千晴代表>
Q.初日のお客さんの入り方とすると、2023年と比べて多いですか?
「初日の入り方は多い、全然多いです」
Q.2023年との違いは?
「山梨県の方で保全協力金以外に通行料(2000円)、これ一番外国の方には効いているね。そういう意味で山梨から静岡県側にシフトされてる方はかなりいらっしゃいます」
<東部総局 金原一隆記者>
「ここ、須走口5合目は『事前登録』のチェックポイントの一つとなっています。静岡県内3つの登山道で7つ設けられたチェックポイントのいずれかで、事前登録をしてあるかどうか認証を受ける必要があります」
「ビッ(電子音)」「OK」
事前登録の認証が済んだ登山客は、証明となるリストバンドを身に着けて、山頂を目指します。
<事前登録してきた登山客>
「インバウンドで多くの方が登ってくるので、人数を抑える意味でもいいことじゃないか」
「今回初めてなので、特に違和感なく、遭難事故もあるので、登録しておくことはいいことだと思う」
静岡県側から登山する人は、登山日程や山小屋宿泊予約の有無などをスマホやパソコンで登録し、さらに安全な登山のためのルールやマナーを動画で事前に学ぶことが求められます。これは、富士山に登る人を管理するとともに、気象条件など、富士山のリスクを知らないまま、山小屋への宿泊もせずに夜通し登る「弾丸登山」をなくすための仕組みです。
一方、登録せずに富士山まで来た人は、登山口のチェックポイントで登録し、ルールやマナーを学んでから登ることになります。
<静岡県富士山世界遺産課 岡田晋治課長代理>
「新しい試みですけれども、きょうまでですね、登録者数がけさの時点で約2万7000人という登録いただいています。任意のお願いベースの登録になるもんですから、どれだけ登録していただけるかっていうとこもあったんですが、ある程度認知が進んだのかなと」
ただ、受付窓口を取材していると課題もみえてきました。
<受付窓口スタッフ>
Q.QRコードを事前登録で持ってくる人はどれくらい?
「外国の方はほとんどQRコード登録して持ってきてくれるので、すぐに認証できる。日本の方は1~2割…半分以下です」
日本人登山客の事前登録は、まだ半分程度だといいます。また「富士山保全協力金」でも、外国人登山客はほとんど協力してくれる一方、日本人の協力金は半分に満たないという状況です。
6月上旬に公表されたばかりの事前登録システム、富士山を守り、登山客を守るためにもPRに一層力を入れていく必要がありそうです。
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