<客>
「がんもなりを3つください」
6月16日、静岡県富士市の富士本町商店街で開かれた軽トラ市です。
客が次々と買っていったのは…。
<客>
「がんもなりを目当てに来ました」
「結構早く売り切れちゃうのでやっと買えました」
<金沢豆腐店 金沢幸彦さん>
「富士で新しい名物を目指します」
<金沢幸彦さんと青木健さん>
「がんもなりです」
富士市で今、じわじわと人気を集めている「がんもなり」です。手掛けたのは、創業大正2年、111年続く老舗富士市の金沢豆腐店です。国産の大豆にこだわった手作りの豆腐が人気の店ですが、豆腐とともに作られているのが?
<金沢豆腐店 金沢幸彦さん>
「味付けがんもといいまして、最近では“スイーツがんも”という名で親しまれております」
100年以上前からあるといわれる富士市民のソウルフード「味付けがんも」。甘くて香ばしいのが特徴で、10年ほど前から「スイーツがんも」と名前を変え、愛され続けています。水分を飛ばした豆腐に、ニンジン、塩をいれて混ぜていきます。そこに砂糖とゴマを入れて、形を作り、油で揚げて完成です。
<金沢豆腐店 金沢幸彦さん>
「油揚げの製造をやめてしまいました。そうしたら、油揚げを買っておいなりさんを作っていたお客様が油揚げがないということで、このがんもを使って、半分に切って、そこに酢飯を入れておいなりさんを作っているという話を、お客さんが雑談でしてきました。それがきっかけなんです」
「がんもなり」の「がんも」ができました。
<富士支局 杉村直美記者>
「今度はどちらに?」
<金沢豆腐店 金沢幸彦さん>
「今度は、富士市森島の『はんなりキッチン結』というお弁当屋さんに行きます。そこでがんものいなり寿司を作っていただいております」
車で走ること30分。向かったのは、富士市の弁当・惣菜店「はんなりキッチン結」です。
<金沢豆腐店 金沢幸彦さん>
「お願いします」
ここからは、店主の青木健さんにバトンタッチです。まず、スイーツがんもを半分に切ります。静岡産の米を使った酢飯とゴマ、国産の紅ショウガを和え、中に詰めていきます。酢の加減や、具材の分量などを試行錯誤し完成させました。
<はんなりキッチン結 青木健さん>
「酢飯を一度やり直しをさせてもらいました。金沢さんの方から、もう少し酢を効かせてほしいと。金沢さんのこだわりもあるので、そこは金沢さんが作った味を守るように心がけています」
富士市の店主が、タッグを組んで作る「がんもなり」。金沢さんの「スイーツがんも」と「いなり寿司」。2つを掛け合わせて「がんもなり」と名付けました。金沢さんは、定期的にマルシェにも出店をしています。
<客>
「甘いがんもと酢飯の感じがちょうど合っています」
「美味い。中にショウガが入っていて、ゴマも入れてあって、がんもの甘さとすごく合います」
今までありそうでなかった意外な組み合わせが、お客さんに好評です。
<はんなりキッチン結 青木健さん>
「富士の名物の一つとして定着していけばいいなと思っています」
<金沢豆腐店 金沢幸彦さん>
「富士市に来たら、がんもなりを食べて帰らなきゃとかそこまでなったら嬉しいなという気持ちです」
富士市内の寿司店や、喫茶店などでも、オリジナルのがんもなりが次々と誕生しています。がんもなりは、金沢豆腐店で、今月22日(土)と29日(土)、7月6日(土)に販売されるほか、富士市森島の「はんなりキッチン結」では毎日販売されるということです。
◆がんもなり
1パック 2個500円(税込)