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清水エスパルスOBのチョン・テセさん&西部洋平さんが厳しくも愛ある提言!「選手は腹を割っていたか」「クラブは抜本的な改革を」

SBSラジオの静岡サッカー熱血応援番組「ヒデとキトーのFooTALK!」に、清水エスパルスOBの西部洋平さんとチョン・テセさんをお招きしました。聞き手はパーソナリティのペナルティ・ヒデさんと鬼頭里枝さん。

ヒデ:まずお2人の関係は?

テセ:僕がエスパに入って活躍して完全に調子に乗っていた時。J1に上がったタイミングで、もう完全に僕は裸の王様になっていた。僕を嫌う派閥ができていたんです。

一部の選手たちと関係性がかなり良くない時に、洋平さんがそのことを僕に教えてくれました。僕は調子に乗ってることに気づいてないから、正直ショックだった。

洋平さんがあの時自分に教えてくれたことにすごく感謝しています。洋平さんと殴り合いの喧嘩になりそうになったこともあります。でも、みんなは陰でグチグチ言ってるのに、僕にストレートに言ってくれたことにめちゃめちゃ感謝。だから、さっきも洋平さんと会ったとき抱き合うぐらい、僕はすごく信頼してます。

鬼頭:西部さんは、テセさんから「試合に出てないのに僕らの気持ちなんて分かるわけないじゃないですか」と言われたとか。

西部:テセと2人で話し合いをしたんですよ。僕が意見を言って喧嘩になりかけた時、テセはカーッとなって。

テセ:俺そんなこと言ったんですか。ひどいこと言いますね。

西部:その気持ちも分かるんですよ。やっぱり試合に出てる人たちの気持ちは分からない部分も当然ある。でも、それよりテセのいい部分がみんなに伝わった方が絶対いいから。それが裏目になるのは…。

テセ:僕もそれはよっぽどのことじゃなきゃ言わない(笑)。売り言葉に買い言葉的なところでそうなったとは思うんですよ。それは本当に人を傷つけるひどい言葉だと思うんですが、そのときは僕も受け入れられなかったんです。調子に乗ってたから。

西部:僕は聞こえないところで、ウジウジ言ってるのがダサいと思っていた。絶対に人のためにはならない。

もちろんテセのためということもありましたし、チームのためにテセが自分の居場所を見つけて活躍してくれないと、チーム状況も良くならない。陰でグチグチ言ってるような奴がいっぱいいたら、チームはまとまらない。

でもそれを実際行動に移す時には、パワーを相当使うんですよ。言わない方が楽なんですけど、やっぱりチームを上げるためにはやらなきゃいけない。

テセ:こんなこともありました。ある選手がちょっと生意気な行動をした時に、洋平さんがブチギレた。その選手の背中のユニフォームをつかんで「てめえ!」みたいな感じになった。

僕も町田ゼルビアに行った時に、同じような選手がいた。僕は洋平さんにやってもらったことを、その選手にしたんですよ。僕もその選手に対してイライラしてたから。

次の日の朝呼び出して、「お前今こういうふうな感じで、こうでこうで、前にいたクラブではこんなことなくて」みたいな話をした。次の日、向こうから「テセさん、なんかあったらまた教えてください」って言ってきました。

清水は本当に一つになっていたか?


ヒデ:今回J1に上がれなかったエスパルスについてお聞きしたい。

西部:ピッチに立った以上、選手も責任があるのは当然ですが、問題はそこだけではないのではと思う。僕も長年エスパルスの良いところも悪いところも見させていただいて、本当にチームが一つになってたのかなと。

テセと俺が喧嘩した時のように、本当に腹を割って話せていたのかなというのは疑問だし、それを真剣に選手、チームがやってたら、圧倒してたと思うんですよね。

最近はいろんなカテゴリーを僕も見ています。J3でもチームが同じ方向を向くことさえできれば、力がまだ小さなクラブでも優勝するところまで行ったりする。サッカー云々じゃないんじゃないかと思います。

テセ:今の話の続きでもあるんですが、今回は町田がダントツ優勝しました。そのやり方を聞いたら、黒田剛監督はチームの和を乱す奴や、スタメンじゃなかった時に少しでも態度に出すような選手は徹底的に外すらしいんですよ。逆にちゃんと和を保とうとする選手は重宝する。

「正しい方法でもっと喧嘩を」「嫌われ役になっても」

テセ:エスパルスには、喧嘩してでもお互いが話し合って、その態度を改めさせることを率先してやる人がいたのか。正しい方法でもっと喧嘩した方がいいし、もっと言い合えばいい。「ことなかれ主義」でそのまま流れていこうとすることが多いですが、言いたいことはその場で言った方がいい。

ヒデ:確かにベクトルが一緒だったら、勝利は自ずとやってくる。そこに向けてなら、もめることがあってもいいし、それぞれ意見を言わないと、一緒には進めなくなりますもんね。

テセ:選手同士で気まずくなるのは嫌だと思う。自分が悪口を言われるのも嫌だし。でもチームに足りてないものがあるなら、誰か客観的にふかんして見られる人が、嫌われ役になってでも言うべきなんじゃないのかな。

ヒデ:西部さんは、「テセ君なら、言ったら分かってくれる」っていうのも絶対あったわけでしょ。

西部:もちろんです。けれど、もし相手がわかってくれなくても僕は言いたい。本当にその可能性がちょっとでもあるんだったら言ってあげたい。その選手のためにも、チームのためにも。

プレーオフ決勝のこと


ヒデ:J1昇格プレーオフ決勝で、西部さんはラジオで解説をしていました。どんな空気でした?

西部:言葉が出ない感覚って久々に味わいました。放心状態ですね。

テセ:清水は、あの最後の試合にスポットが当たりがち。でも、監督交代があったころの1勝と、あの1勝は全く同じ1勝なので。あそこで引き分けて上がれなかったというところにフォーカスをしすぎないで。もっと全体的に、あの時こうすればよかったっていうのがいっぱいある。

でも結果論だし、あまりそれに没頭しすぎるのもよくない。もうちょっと感情を抜きにして、ドライに「なんでこうなったのか」って考えたい。

“名門”の抜本的改革に期待

ヒデ:西部さん、来シーズンはどうですか。

西部:年々J2って甘くないリーグになっています。J3も年々ハードになってきている。今年の経験をどう生かすか。チームとしての根本的な部分を考え直すチャンスだと思います。2年連続J2は初。しっかり根っこの部分を考えるべきかなと思います。

テセ:最近、京都サンガのチョウ・キジェ監督と話しました。就任した時に、ロッカールームに置いてるサッカーに関係ないものを全部捨てさせたらしいんですよね。試合前日に遠征でコンビニに行くのも禁止したらしい。そのぐらい徹底しないとチームって改革できないのかなって思いました。

エスパルスは名門で、いろんなものが優遇されていて、ステータスも高い。監督としてもメスが入れづらい空気感でもあったりする。そういう風習みたいなところが抜けきれなかった。今回は抜本的な改革ができるチャンスではと思います。

ヒデ:フロントに対しての厳しい意見もたくさんありました。それをしっかり飲み込んでもらえるかどうか。中長期で考えることはあるでしょうね。

未来の“チョン・テセ監督”が描くスタッフ陣


鬼頭:リスナーから。「2人とも清水エスパルスのスタッフに入ってください」という意見がきています。

テセ:メディアに出る仕事はフリーな時間も多いし、家族との時間も多くて楽しい。でも、指導者やってた方が経験として積もっていくものがあるんじゃないのかなと思っています。

西部:テセはサッカーに対しての情熱がすごいし、知識もすごい。だけど、僕みたいな人が近くにいないとダメなんじゃないかな(笑)。

テセ:その通り。怒ってくれる人がいないと、やりたい放題になっちゃうんですよ。自分で自分をコントロールできない。

僕が監督になった時のことは、もう決めてますからね。ゴールキーパーコーチが洋平さんで、ヘッドコーチは金子翔太。分析に西沢健太。これはもう能力を持ってる人たちです。ディフェンスコーチは角田誠です。僕はコーチはやりたくないんですよ。自己チューなんで。

鬼頭:やっぱり西部さん連れて行かなきゃダメだ。

選手の放出食い止めて!

鬼頭:来シーズンに向けて、清水はどうしていったら…。

西部:僕が一番思うことは、基盤を作ってほしい。エスパルスってこういうチームだからこういう選手集めてるよねとか、こういうところを目指してるんだっていう基盤ができ上がってくれば。もちろん来年上がることが目的だけど、その先にもつながるんじゃないかなと。

テセ:戦力の維持は絶対でしょうね。これはもう、精神論に頼るのはちょっと浅はかだと思う。どうしても経済的な部分になってくるし、スポンサーの力も必要だと思うし、どれだけ今の選手の放出を食い止めて、なおかつ有望な若手を取るかっていう選手編成が一番大事だと思う。

ヒデ:本当に一筋縄ではなかなか…。

結局一番サッカーが好き


鬼頭:それぞれ2023年はどんな1年でしたか。

テセ:今年はサッカーをやめて、サッカー選手の時にできなかったこと、やりたいことを全部やったんですが、結局サッカーが一番やりたいことなんだっていうのに気づけた1年でした。

ヒデ:引退してサッカー好きになるっていうのは、すごくわかる。

鬼頭:西部さんは?

西部:僕は解説とかいろいろサッカーに携わらせていただき、非常に充実した年になりました。あのスタジアムで、あのピッチに立てるのは、やっぱり幸せなことだったんだなってめちゃくちゃ感じましたね。

あの感覚や興奮はもう味わえないので、それを選手に伝えられたら。なかなか選手の時って分からないけど、それを感じながらやってほしいなと思いながら、1年間解説をしてました。

ヒデ:最後にメッセージを

テセ:撮影でアイスタに1度行ったら、たくさんの人が気づいてくれました。そこで僕、「俺ってこのスタジアムでやってたんだ」と泣いたんですよ。やっぱりエスパルスにすごくいい思い出があるので、恩返しができればいいと思います。
シズサカ シズサカ

サッカー大好き芸人、ペナルティ・ヒデと、サッカー中継のリポーターとしても活躍する鬼頭里枝の2人がお送りする番組。Jリーグから海外サッカー、ユース世代、障がい者サッカーなど幅広くスポットを当て、サッカーを通して静岡を盛り上げます。目指すは「サッカー王国静岡の復権」です!

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