墓碑銘2020 宮城まり子さん/有馬朗人さん/吉永修さん

 障害のある子どもたちの育成に生涯をささげた宮城まり子、東京大学長や文相として学術振興に尽力した静岡文化芸術大理事長の有馬朗人、東京五輪で新競技となったサーフィンの礎を築いた吉永修―。2020年、それぞれの舞台で確かな功績を残した静岡県内ゆかりの人々が逝った。(敬称略、年齢の次の日付は死去した月日、芸能人らは本名略)

宮城まり子さん
宮城まり子さん
特別鼎談「富士山を語り合う」に臨む有馬朗人=2012年
特別鼎談「富士山を語り合う」に臨む有馬朗人=2012年
宮城まり子さん
特別鼎談「富士山を語り合う」に臨む有馬朗人=2012年

 【県政】1971年に県議に初当選し、連続6期務めた河畑房次(88歳、11・25)は県議会議長や自民党県連政調会長を歴任。県茶業会議所理事、茶業中央会理事にも就いて茶産業の発展に貢献した。元県議の村松忠治(81歳、8・12)は旧静岡市議会議長も務めた。
 【地方自治】元裾野市長の市川武(95歳、5・22)は県静岡東土木事務所長や県住宅供給公社常務理事も務め、都市基盤整備や産業振興に尽くした。元大須賀町長の斉藤孝三(78歳、3・16)は最終処分場問題の解決や福祉、道路整備など地域課題に取り組んだ。元芝川町長の鈴木邦雄(91歳、1・14)、元中川根町長の鈴木久(85歳、10・27)も他界した。元伊豆長岡町議会議長の町田由夫(102歳、1・14)、元東伊豆町議会議長の八代善行(71歳、1・29)、元長泉町議会議長の上杉成司(76歳、2・24)と木下章夫(64歳、12・1)、旧磐田市議会議長の江塚重尋(84歳、3・7)、元磐田市議会議長の元場千博(79歳、9・3)、元島田市議会議長の園田董(89歳、2・10)、元富士市議会議長の大石松雄(83歳、4・12)、元大須賀町議会議長の大場辰男(91歳、5・15)、元榛原町議会議長の鈴木幹夫(83歳、5・17)、元相良町議会議長の増田光判(86歳、9・24)、元清水町議会議長の遠藤忠宏(80歳、10・4)の訃報も届いた。
 【経済】鈴木楽器製作所創業者の鈴木萬司(97歳、8・21)は国内初の鍵盤ハーモニカとされる「メロディオン」を製造。全国の学校を中心に教育楽器の普及に力を注いだ。元静岡ガス社長の大石司朗(85歳、11・25)は静岡商工会議所副会頭や県静岡工業技術センター協議会長も務めた。曽根令三(85歳、2・13)はスーパーマーケット「田子重」の創業者。薮崎新聞店会長の薮崎二三男(94歳、2・15)と勝又新聞店前社長で元御殿場市商工会長の勝又英男(86歳、2・17)、静岡中央新聞販売前会長の星野和七郎(93歳・4・2)は元静新会会長として新聞販売、普及に尽くした。藤枝江崎新聞店会長の江崎友次郎(91歳、4・2)は、藤枝商工会議所会頭や藤枝市観光協会長を歴任。元増進会出版社(現増進会ホールディングス)社長の藤井史昭(80歳、1・9)は受験用通信添削などの教育事業を展開し、「Z会」の名を全国区に広めた。
 【文化】県演奏家協会長を24年間務めた赤堀庄太郎(94歳、6・14)は菊川文化会館アエルの初代館長に就いた。鍵盤ハーモニカなど教育用楽器の開発、校歌の作曲など音楽教育を推進した。富士市文化振興財団理事長の丸茂湛祥(80歳、11・22)は日本画家でつくる芸術団体「新興美術院」の常任理事も務めた。富士宮市出身の藤木孝(80歳、9・20)は1960年ごろにロカビリー歌手としてデビューし、その後は俳優として活躍。三島市出身でタレントの轟二郎(65歳、8・2)は本紙夕刊コラム「窓辺」も執筆した。静岡市清水区で作家活動を続けた長谷川卓(71歳、11・4)は「昼と夜」で群像新人文学賞に輝き、「百舌が啼いてから」で芥川賞候補、「血路-南稜七ツ家秘録」で角川春樹小説賞を受賞した。同市葵区の俳人栗田ひろし(90歳、9・15)は「文芸静岡」創刊に参加した。藤枝市出身のシャンソン歌手青木裕史(68歳、12・19)はSBS学苑講師を務めた。県華道連盟会長の山田富世(78歳、6・29)、県護国神社名誉宮司の二橋正彦(85歳、11・4)も逝去した。
 【研究・教育・医療】1955年に「ガード下の靴みがき」で歌手デビューした宮城まり子(93歳、3・21)は俳優としても活躍。68年に浜岡町(現御前崎市)に国内初の肢体不自由児養護施設「ねむの木学園」を設立し、障害のある子どもたちの教育と芸術を推進した。原子核物理学者で文相兼科学技術庁長官、東京大学長を務めた有馬朗人(90歳、12・6)は中央教育審議会長だった96年に「ゆとり教育」の導入を求める答申をまとめ、2003年に県教委の「確かな学力」育成会議の座長に就任。俳人としても国内外に俳句文化を発信し続けた。沼津市出身で物理化学の世界的学者である長倉三郎(99歳、4・16)は化学者の国際組織「国際純正・応用化学連合」(IUPAC)の会長に日本人で初めて就任した。前県立美術館長で文学研究者の芳賀徹(88歳、2・20)は260年余に及ぶ徳川時代の文化に新たな評価を与え、明治文明との連続性を説いた。米国のビキニ水爆実験で被ばくした焼津港所属の遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」元機関士の池田正穂(87歳、2・20)は、島田市や藤枝市で子どもたちに核の恐ろしさを語り継いだ。
 県医師会長や沼津医師会長を歴任した勝呂安(95歳、6・5)と元県医師会副会長で元浜松市医師会長の大久保忠訓(98歳、9・3)は全国に先駆けて地域の救急医療体制の構築に尽力した。元県医師会長で元御殿場市医師会長の岡田幹夫(90歳、12・11)も世を去った。県立大名誉教授の冨田多嘉子(84歳、4・4)は県選管委員長や静岡新聞「読者と報道委員会」委員も務めた。元浜松市教育長の河合九平(91歳、6・9)、元豊田町教育長の倉島秀行(93歳、3・10)も鬼籍に入った。三島市の鈴木整形外科医院名誉院長の田熊清彦(84歳、7・19)は市文化芸術協会長も歴任。児童養護施設「静岡恵明学園児童部」元園長の加藤秀郷(75歳、7・19)は全国児童養護施設協議会で副会長や相談役を担った。
 【まちづくり】元御前崎町観光協会長の沢入幸夫(83歳、11・28)はマリンスポーツ世界大会の誘致などに貢献。暴力追放活動にも取り組んだ。浜松商店界連盟会長を24年間務めた御園井宏昌(91歳、6・12)は浜松市の中心市街地活性化に力を尽くした。
 【スポーツ】日本サーフィン連盟強化本部長を務めた吉田町の吉永修(61歳、7・16)は2018年に世界選手権に相当する大会で日本チームを団体優勝に導いた。静波海岸で子どもたちにサーフィンの基本や楽しさを伝える教室も開いた。桑原貞秋(86歳、10・27)は日本ソフトボール協会理事や県ソフトボール協会長を務め、競技の発展に貢献。静岡市の稲森パーキング創業者の稲森照男(89歳、7・12)は県ハンドボール協会長や県体育協会顧問を務めた。静岡高出身で元プロ野球広島の投手として活躍した望月一(52歳、7・6)も逝った。

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