多様な存在を知って 家族介護の若者「ヤングケアラー」体験出版

 障害のある人の「きょうだい」の思いや悩みを共有する静岡きょうだい会代表の沖侑香里さん(30)=富士市=が一部を執筆した書籍「ヤングケアラー わたしの語り 子どもや若者が経験した家族のケア・介護」(生活書院、税込み1650円)が10月末に出版された。若くして家族のケアをしてきた7人が体験を書いた。沖さんは「ただかわいそうな存在としてではなく、人間としての実像を知るきっかけになれば」と一読を勧める。

7人の経験がまとめられた書籍をPRする沖さん=富士市内
7人の経験がまとめられた書籍をPRする沖さん=富士市内

 A5判、216ページ。20~40代の男女が体験を文章にし、ヤングケアラー研究に取り組む成蹊大現代社会学科の渋谷智子教授が編者としてまとめた。2018年に同会を設立した沖さんは、交流のあった渋谷教授からの依頼で第3章の36ページ分を執筆した。
 「障害のある妹と私 『きょうだい』として感じてきたこと」との題で、進行性の病のある妹のケアに掛かりきりになる母親への思いや、周囲の偏見、自身の葛藤など、年齢を重ねて変化する複雑な心情を幼少期から時系列で記した。「きょうだい」との出会いや、同会発足の経緯も収めている。沖さんは「きょうだいやヤングケアラーの存在を知り、身近な人にも思いをはせてほしい」と話す。

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