ゲストハウスが「オンライン宿泊」 画面越しに富士の街案内

 富士市吉原のゲストハウス「14ゲストハウス・マウントフジ」がビデオ会議アプリを活用した「オンライン宿泊」を始めた。ゲストハウス周辺や町の魅力をオンラインで紹介し、参加者に同市を旅しているような臨場感を味わってもらう。新型コロナウイルスの影響で4月から休業になり、5月の営業再開後も客足は戻っていない。感染症の収束後に向けて、来訪するきっかけづくりに動く。

オンライン宿泊の客と交流する小沢かおりさん(手前)と鈴木大介さん=6月中旬、富士市吉原の「14ゲストハウス・マウントフジ」
オンライン宿泊の客と交流する小沢かおりさん(手前)と鈴木大介さん=6月中旬、富士市吉原の「14ゲストハウス・マウントフジ」

 6月19日夜の初回には東京、愛知、大阪などから20~30代の男女5人が参加した。オーナーの鈴木大介さん(32)がスマートフォンの映像を通して、“宿泊客”に吉原商店街から宿までの道順を案内した。ゲストハウスに到着すると、支配人の小沢かおりさん(29)と2人で、内部の様子や市内の見どころを写真などを交えて紹介した。参加者はビールを片手に交流を深め、次は「オフラインで再会を」と意気投合して約2時間の宿泊体験を終えた。
 オンライン宿泊は参加費千円。“再訪”を促す仕掛けとして、500円分を宿泊時の飲料代などとして還元する。
 同ゲストハウスは2019年12月にプレオープンした。ことし4月の本格稼働に向けた準備中で感染が全国に拡大し、予約は全てキャンセルになった。夏の富士山も閉鎖が決まり、インバウンド(訪日外国人客)も見込めない状況が続く。「旅行市場の回復には長い時間がかかる。持続化給付金や銀行の融資などもいつまでも受けられるわけではない」と鈴木さん。オンライン宿泊は窮状の打開策とはならないものの、「今後、訪れてもらうためのアピールになる」と前を向く。

 <メモ>14ゲストハウス・マウントフジは、東海道14番目の宿場町だった吉原商店街のビルをリノベーションして2019年12月に開業した。ドミトリー型の客室3室で、そのうち女性専用が1室、富士山の眺望を楽しめるツインルームがある。オンライン宿泊は午後8~10時。開催日はウェブサイトやインスタグラムの公式ページで確認する。問い合わせは同ゲストハウス<電0545(67)1005>へ。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞