T.Sブランド 組みひもに手作業の艶 津田製紐(富士)【しずおかMIRUIプロジェクト】

 「職人が作るひもを身近に感じてもらいたい。消費者に直接届けたかった」。3代目社長津田大樹さん(34)は2年前に自社の「T.Sブランド」を設立した理由をこう語る。

ロウ引き、染色にこだわって作られた手芸用、靴ひも
ロウ引き、染色にこだわって作られた手芸用、靴ひも
津田大樹社長
津田大樹社長
ロウ引き、染色にこだわって作られた手芸用、靴ひも
津田大樹社長

  創業64年のひも製造の老舗。かつては製造した全てを中間業者に卸してきたが、弟の副社長亮さん(31)と二人三脚で販路を開拓し、ロウ引きを施し艶の面で特色を出したひもが東急ハンズで扱われるようになった。
  組ひもは、0・5ミリの細さを維持しつつ、高い強度が売り物。富士山の伏流水で染めた後に行うロウ引き加工は、1500回に及ぶ重ね塗りを行い、独特の艶を出す。機械による自動化が業界内で進む中、こうした手作業は決して効率的ではない。
  富士市内の組ひもメーカーは1950年代に20~30社あったが、現在は3分の1程度に減少した。安価な外国製品が大量に流れ込んだためだ。
  伝統の産業を守ろうと、静岡産業振興協会の商品開発プロジェクトに応募。若手デザイナーと連携し、消費者がひもと再生紙などを使って手作りするバッグとノートの製作キットをこのほど、開発した。「手作りひもと触れる機会がない人も多い中、手作業で組み立てる中で愛着を感じてほしい」。自社商品が持つ新たな可能性を探り続ける。
      ◇ 
  静岡新聞社・静岡放送などが展開する静岡を元気にする地元企業を応援する「しずおかMIRUI(みるい)プロジェクト」。クラウドファンディングで資金調達し、新ビジネスに挑戦する県内事業者を紹介する。

 ■クラウドファンディング
 目標額 20万円(達成済み)
 返礼品 手芸用、靴ひもなど

 ■会社概要
 1956年創業。富士市伝法1434の2。従業員7人

 ※静岡新聞2020年4月1日朝刊掲載

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