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医療的ケア児の支援強化 出張相談会でニーズ把握 静岡県、拠点開設から1年

 静岡県は日常的に医療的ケアが必要な子どもらへの支援体制を強化する。きめ細かいニーズに対応するため新たに出張相談会を実施するほか、医療従事者向けに障害福祉サービスをテーマにした研修会を開く。2022年7月の支援拠点開設から間もなく1年。関係機関との連携や人材育成に力を入れ、医療的ケア児と家族が地域で安心して暮らせる環境づくりを進める。
 出張相談会は9~11月に東、中、西部の医療機関や特別支援学校計6カ所で開催する。看護師やリハビリ、福祉などの関係職員が現地に出向き、医療的ケア児や重症心身障害児の家族らの相談に対応する。
 県は22年7月4日、静岡市駿河区の静岡総合庁舎に県医療的ケア児等支援センターを開設した。看護師らが電話を中心にさまざまな相談に対応しているが、出張相談会の開催によって対面で相談しやすい体制をつくり、支援ニーズの把握につなげる。23年4月からは保育、福祉、教育の各分野に精通したアドバイザーをセンターに配置済みで、きめ細かいサポートや関係機関への橋渡し役を担っている。
 医療従事者向け研修会は10月に静岡市内で開く。医療機関や訪問看護ステーションなどで働く医師や歯科医師、看護師らが対象。障害福祉サービスの概要や利用手続きなどの知識を習得してもらい、医療的ケア児の支援に当たる人材を育成する狙い。
 2022年度に支援センターに寄せられた相談件数は63件で、うち3割が家族からだった。県によると、学校生活での食事や付き添いに関する困り事、看護の悩み事などがあったという。一方、潜在的なニーズはさらに多い可能性があり、障害福祉課は「出張相談会などの機会を通じ、センターの取り組みを周知していきたい」としている。県によると、自宅で暮らす医療的ケア児は県内に約600人いるとされる。
 県医療的ケア児等支援センターは平日午前10時から午後4時まで。問い合わせは同センター<電054(204)1380>へ。

 医療的ケア児 たんの吸引や人工呼吸器といった医療のケアが日常的に必要な子ども。医療技術の進歩で救命率が向上し、厚生労働省によると自宅で暮らすケア児は全国で約2万人と推計される。対応可能な職員がいる保育所などが少なく、ケア児の預け先がないことで親の就労が妨げられるといった課題がある。2021年に施行された医療的ケア児支援法は、ケア児と家族への支援を国や自治体の責務と明記した。

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