焼失のやまがた楽器店復活 市民や常連一丸支援 三島の音楽拠点再出発
2021年10月の火災で焼失した三島市本町のやまがた楽器店が10日、新店舗での営業を再開した。山形正明社長(64)が失意の中、再建を後押ししたのが「三島の文化を絶やさないで」「必ず復活して」といった市民や常連客からの声だった。再出発に向け「ここを拠点に若き音楽家を育てていきたい」と決意を新たにした。
![新店舗で営業を再開したやまがた楽器店=三島市本町](/news/images/n126/1257015/IP230610TAN000022000_0001_CDSP.jpg)
火災直後から多くの善意が寄せられた。寄付金や見舞金を届けるだけでなく、クラウドファンディングを立ち上げたり、チャリティーライブを開催したりする客もいた。山形社長は「落ち込んでる暇がないほど物心両面で応援してくれた」と感謝する。
72周年を迎える同店は、楽器販売や音楽教室のほか、県東部の音楽イベントを支え、地域に愛されてきた。先代から引き継いだ15年前に山形社長が掲げた経営理念は「音楽への貢献」。新店舗オープン初日のセレモニーには関係者や常連ら約100人が駆け付け、山形社長は「『頑張って』以上にかけられた『三島の文化を絶やさないで』との言葉は何よりもうれしかった」とあいさつした。
記念演奏した同市出身のバイオリン奏者牧野順也さんは「三島で音楽と言えばやまがた楽器店。音楽や文化の拠点として存在し続けてほしい」と再開を喜び、30年近くピアノ教室に通う安原佳代子さん(79)も「娘や孫もお世話になった。これからもピアノを楽しみ続けたい」と話した。
新店舗は延べ床面積約300平方メートル。1階で楽器や楽譜を販売し、2階は音楽教室用の4部屋がある。店舗前には野外ライブができるスペースを設けた。