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保守分裂、戦いの行方は? 焼津市/「構図崩れ」現元新混戦 御殿場市・小山町/衆院選遺恨三つどもえ【静岡県議選 注目区 統一地方選㊦】

 静岡県議会最大会派自民改革会議は川勝平太知事へのけん制を強め、議席の上積みを狙う。ただ、会派の思惑とは裏腹に焼津市選挙区や御殿場市・小山町選挙区は、定数を上回る自民党系出馬予定者が名乗りを上げ、保守分裂選挙の色合いを濃くしている。

静岡県議会
静岡県議会

 前回選で2議席独占が崩れた焼津市選挙区の自民。雪辱を期して昨年11月、同市議(当時)の松島和久氏が立候補を表明した。現職の良知淳行、諸田洋之両氏との三つどもえの争いになるかに見えたが、今年に入り、前回落選した元職塚本大氏が現職時代に所属した自民からでなく、無所属での出馬を決定。現元新4人による混戦模様になった。
 「当初思い描いた構図が崩れてしまった」。自民党幹部は険しい表情だ。固い地盤を誇る諸田氏を崩し、松島氏の「新人効果」で突っ走ろうと算段していた。ところが、県議2期を務めた塚本氏が参戦。良知氏と松島氏の両陣営は危機感を募らせる。「互いに食い合っていては共倒れする。2議席奪還どころではなくなる」(自民幹部)と選挙戦略の練り直しを迫られている。
 各陣営が勝負の鍵とみるのが浮動票の行方だ。同市選挙区は2000年代に入り、非自民候補が1万票台を獲得している。どの陣営も比較的人口の多い地域に狙いを定め、実績や即戦力であることを前面に押し出して浮動票の獲得を目指す。
 4氏とも市内を縦横無尽に回り、既に選挙戦モードだが、有権者の関心はいまひとつだ。2月の市議選の投票率は過去最低を記録した。ある市民は「政策論争が聞きたい」と注文をつける。
 自民が2議席を独占する御殿場市・小山町選挙区は自民系3氏と非自民1人の計4人がしのぎを削る。2021年の衆院選を巡る対立で広がった自民党内の溝が保守分裂選挙に発展した。
 「今まで和田篤夫氏を勝たせたのは私たち。今回は和田票を取りに行く」。高橋靖銘氏の陣営は息巻く。事務所開きには細野豪志衆院議員を支援する有力者が駆け付けた。
 和田氏を支える自民の古参党員と、高橋氏を担ぐ若林洋平参院議員の後援会の若手らは同じ党支部で協力してきた。しかし、21年衆院選で高橋氏らが党公認候補ではなく、当時無所属の細野氏を支援したと古参党員が激しく反発した。一方の若手は、役員人事など党支部運営が和田氏の独善的だと批判した。
 迎え撃つ和田氏の後援会幹部は反目してきた細野氏の動向に警戒しつつ、語気を強める。「勝って自民の正統な議員だと示す」
 勝俣昇氏は両氏の争いとは一線を画す。親戚や細野氏の支援組織を通じて浸透を図り、トップ当選が期待されながら2位だった前回選を上回る得票を狙う。
 勝又英博氏は、県議会会派ふじのくに県民クラブ所属議員でつくる地域政党「新政しずおか」の推薦を受ける。非自民系の受け皿となるか注目される。

 立候補予定者
 ▽焼津市(定数2)
 良知淳行 58 自現③
 諸田洋之 56 無現②
 塚本大 48 無元
 松島和久 63 自新
 ▽御殿場市・小山町(定数2)
 和田篤夫 71 自現③
 勝俣昇  63 自現①
 勝又英博 66 無新
 高橋靖銘 49 無新

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