
そして迎えたグループリーグ初戦のオランダ戦。日本は欧州の強豪を相手に2度リードを許しながらも食らいつき、2-2の引き分けで勝ち点1を獲得した。その立役者の一人となったのが小川だった。久保建英の負傷交代を受け、後半30分からピッチへ投入される。求められた役割は明確だった。高さと強さを生かし、ゴール前で違いを生み出すこと。日本が同点弾を必要としていた時間帯、小川は自らの武器を最大限に発揮した。
後半43分、日本は右サイドの攻撃からCKを獲得する。伊東純也のクロスに反応した小川はゴール前へ鋭く入り込み、屈強なオランダ守備陣の間で完璧なタイミングのヘディング。ボールはすぐ前にいた鎌田大地の頭をかすめてゴールに吸い込まれた。鎌田の得点となったが、誰もが小川のプレーが生んだ同点弾だと感じた場面だった。
「純也君のボールが本当に良くて。でもゾーンを見た時に、あそこしかないなと思っていた。あそこからしかゴールは生まれなさそうだなというところに走り込んで、純也君も分かっていてくれた。本当に意思疎通ができた素晴らしいゴールだったと思います」と小川。自身の得点にはならなかったが、その表情には確かな手応えがあった。
「僕がゴールを取ることに関しては、ずっと自信を持っているし、今もそうです。それをこの舞台で発揮できたのは、自分の力を信じるいいきっかけになりました」
オランダのリーグNで結果を残し続け、アジア最終予選などでも得点を積み重ねてきたストライカーらしい言葉だ。一方で、その後の言葉にはこれまでとは少し違う心境もにじんでいた。カタールW杯のメンバー入りを逃した小川は「4年後は自分がW杯で点を取る」と言い続けてきた。実際、この日もあと一歩でその夢を実現するところまで来た。

「あの日、クロアチアに負けた日から、ずっと俺がやるという気持ちでいました。テレビの前で見た光景は今でも覚えているし、本当に悔しかった」と小川はここまでの正直な心境を語る。それでも今大会を迎えた小川の胸にあったのは、自身の得点欲だけではなかった。
「正直、僕が得点を決めたいと思っていたけど、それ以上にチームの勝利が欲しい。このワールドカップを通して、特に今日は思ったし、俺のゴールというより、チームが勝ち点を拾うこと、勝ち点3を取ることの方が大事だった。今までそんなことは正直なくて。俺が点を取ればという気持ちはFWとしてありました。でも本当にチームの勝利が欲しかったです」
その変化は大会直前の経験から生まれたという。「メキシコに入って、アメリカに入って、いろんなことがあって。W杯が近づいてきたと思ったら、自分の夢はW杯で点を取ることだったけど、チームの勝利の方を本当に心の底から欲しているなと感じていました」と小川は語る。試合前には、本番を前に無念の負傷離脱となった遠藤航から、日本代表に向けてビデオメッセージも届いた。
「航君の顔を見るだけで、そばにいる気がしたし、みんなを見守ってくれているような時間になりました」と小川は感慨深げに語った。そんな小川に、改めてここからの目標を聞くと「まだまだ本当に1試合が終わっただけなので。今日の試合は忘れて、次の試合に向けて最高のコンディションを作っていけたらなと思います」とストライカーらしい回答が返ってきた。1つ大きな仕事をしたが、彼の本領が発揮されるのはここからだ。




































































