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四ツ池公園 再整備どうなる? 新球場との関係は? 経緯おさらい

 浜松市民をはじめとして、長年多くの人に親しまれてきた四ツ池公園。浜松市は公園運動施設の再整備について、野球場を解体し陸上競技場に特化する方針案を公表しました。再整備をめぐっては、県が進める市内西区の新球場計画も大きく影響してきました。これまでの経緯や新球場との関係をまとめます。

四ツ池公園運動施設の再整備 浜松市、「陸上競技場」特化の方針案

 浜松市は4日、老朽化が進む四ツ池公園運動施設(中区)の再整備について、公園内の浜松球場を解体して陸上競技場に特化させる案を市議会大型公共施設建設特別委員会に示し、了承された。再整備は長年の懸案だったが、静岡県が遠州灘海浜公園篠原地区(西区)に整備する野球場と絡んで議論が進んでいなかったことから、県の動きと切り離して検討を進める。市が同公園の再整備方針案を公表するのは初めて。

浜松市の四ツ池公園
浜松市の四ツ池公園
 陸上競技場は国際大会を誘致可能な公認第1種か、全国大会が開催できる現在と同じ公認第2種とする。アスリートの練習の場を確保するため、サブトラックも併設する。陸上専用か他競技もできる多機能にするかを含めて今後、議論を深める。
 浜松球場が担ってきたプロ野球や高校野球県大会などの機能は、県が整備する野球場と、市内の既存野球場の大規模改修などで確保する。
 市は、県が2024年6月ごろに公表予定の野球場関連の基本計画を待って、同年9月ごろに再整備構想を確定する考え。具体的な調査のための業務委託費を本年度一般会計9月補正予算案に計上する。
 四ツ池公園内の陸上競技場と浜松球場はともに建設から40年以上が経過している。両施設を改修した場合、専有面積の拡大は不可避で、公園内での共存は困難とされる。市は陸上競技場が市内で同公園にしかないことから、陸上競技場に特化した再整備方針案をまとめたという。
 市は21年2月、非公開で行った特別委の準備会合で同様の方針案を示したが、公表していなかった。特別委は県が整備する野球場の規模を見極めた上で議論する方針だったため、2年以上、議論が止まっていた。
(浜松総局・宮崎浩一)
〈2023.7.5 あなたの静岡新聞〉

再整備に意欲 市長 「野球場移転が有効」 市議会代表・一般質問

※2016年3月9日 静岡新聞朝刊から

 浜松市議会2月定例会は8日、本会議を再開し、代表質問と一般質問を行った。鈴木康友市長は陸上競技場の改修を柱とする四ツ池公園(中区)再整備に意欲を示し、浜松球場の機能を西区篠原地区で県が建設を構想する新野球場に移転する必要性を説いた。質問には鳥井徳孝(自民党浜松)、小黒啓子(共産党市議団)、田中照彦(創造浜松)、鈴木唯記子(市民クラブ)の4氏が立った。

 鈴木市長は四ツ池公園について、施設の老朽化と慢性的な駐車場不足が課題と指摘した上で「課題解決のためには、野球場移転と陸上競技場の再整備が有効な方法」と述べた。陸上競技場の規模や機能、整備費用などは今後、策定する整備計画で検討するとした。鳥井、小黒両氏への答弁。
 西区篠原地区への野球場移転に関しては「都市公園として都市計画決定をしている区域。野球場建設の適地との評価結果が出ている」と強調。野球場移転と陸上競技場再整備が「県西部地域全体のスポーツ振興に資するものになる」と述べ、関係団体の意見を聞きながら準備を進めていく考えを示した。
 市は四ツ池公園内の野球場を移転した上で、陸上競技場を国際大会の開催が可能な第1種公認陸上競技場に格上げする構想を描いている。県に対して、県営野球場の建設と併せて、四ツ池公園陸上競技場整備に関する支援も要望している。
 市は1995年に実施した施設整備の検討で複数の候補地を比較した結果などを踏まえ、西区篠原地区が野球場建設地にふさわしいと判断したとしている。

浜松新球場計画また延期 公園全体で最大510億円 静岡県議会

 静岡県議会建設委員会は1日、県が浜松市西区の遠州灘海浜公園篠原地区に整備する新野球場について集中審査を行った。県は球場案の絞り込みに向けて需要調査が必要とし、2024年6月に基本計画を公表すると明らかにした。直近の12月定例会で示したスケジュールからさらに1年遅れる。緑地広場を多く配置する公園整備案を選定したことも報告し、野球場を含む全体の概算事業費が最大510億円に膨らむとした。

県が示した公園全体の概算事業費や維持管理費
県が示した公園全体の概算事業費や維持管理費
 県は当初、野球場の規模と構造を絞り込んだ上で基本計画を策定する方針だったが、県議会側は「判断の前提となる資料が不十分」などと反発。詳細な需要予測と民間資金活用の可能性を探る調査を先行し、調査結果を踏まえて球場案を選定する方針へと転換した。
 公園整備については多目的に利用できる範囲が広い「健康・スポーツ公園」が優位との案を示し、集中審査で異論は出なかった。公園全体の概算事業費は2万2千人規模(草薙球場相当)のドームにした場合に510億円、1万3千人規模(愛鷹球場相当)のドームは430億円、同規模で照明がなく外野スタンドを盛り土構造にすると220億円になる。
 委員からは球場の整備コストが膨らむことへの懸念が相次いだ。県公園緑地課の担当者は、民間資金の活用が見込めない場合に県単独で2万2千人規模のドームを整備することが可能かを問われ、「非常に厳しい」との認識を示した。プロ野球の試合数は年1回を予定していると説明。委員から「立派な野球場をつくる必要があるのか」と疑問の声が上がった。
 建設委は23年度当初予算案に計上された調査費3千万円を認める方向。一方でドーム案や巨額な事業費が独り歩きしているとし、「県民が望む野球場タイプの判断が適切にできるための調査結果をまとめてほしい」と注文をつけた。
(政治部・森田憲吾)
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県が選定した公園整備案のイメージ

〈2023.3.2 あなたの静岡新聞〉

再整備 新球場計画策定まで議論見合わせ 市議会特別委

 浜松市中区の四ツ池公園運動施設の再整備を議論する市議会大型公共施設建設調査特別委員会は24日、県が西区の遠州灘海浜公園篠原地区で建設する新野球場の規模を見極めた上で、四ツ池公園再整備の議論を委員会として再開するとの方向性でおおむね一致した。県が県議会での議論を経て新野球場の基本計画を策定するのは、早くて2022年末とみられ、市議会特別委による議論は当面見合わせとなる見通し。

 市は、四ツ池公園内の市営浜松球場で行われている高校野球県大会などが県の新野球場や市内他球場の改修で開催可能になれば、老朽化した浜松球場を解体し、国際大会に対応した陸上競技場を造る再整備案を検討している。一方、県は財政状況やアカウミガメへの光害などを考慮し、新野球場の規模や構造の検討を続けている。
 特別委では、県が新たに選択肢に加えたドーム型、半ドーム型の構造案に関し「多様な活用ができる」「風や光害対策に有効」と期待する意見が出た一方で、「利用料が高く市民が使いにくい球場にならないか」と懸念の声も上がった。黒田豊委員長(公明党)は「県民、市民のための施設になるよう議論してほしい」と述べ、県や県議会の動向を注視する姿勢を示した。
〈2021.12.25 あなたの静岡新聞〉


 
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