57年の歴史に幕、おにぎりのまるしま 静岡市民愛した軽食店

 JR静岡駅南口近くの軽食店「おにぎりのまるしま」(静岡市駿河区)が25日、57年の歴史に幕を下ろす。昔ながらの店構えや手作りおでん、おにぎりが近隣住民や単身赴任者から愛されてきたが、店主の体力の限界を理由に閉店を決めた。別れを惜しむファンが連日足を運んでいる。

「みんな店の雰囲気がいいと言ってくれる」と話すつた江さん(左)と政夫さん=静岡市駿河区の「おにぎりのまるしま」
「みんな店の雰囲気がいいと言ってくれる」と話すつた江さん(左)と政夫さん=静岡市駿河区の「おにぎりのまるしま」

 慣れた手つきで鍋から1本60円のおでんを取り出すサラリーマン、100円のおにぎりを持ち帰る近所の女性。「お父さんありがとね」「明日も顔出すよ」。23日昼、常連がひっきりなしに訪れ、店主の佐藤政夫さん(78)と妻つた江さん(72)に声を掛ける。「『まだできるのに』と言われるうちが花だね」とつた江さんは笑う。
 1963年、政夫さんが行商をなりわいとしていた母親と店を始め、その後つた江さんと継いだ。出勤前の人に温かいご飯を提供しようと、午前6時半から店を開けてきたが、近年は営業時間を短縮。今春以降は新型コロナウイルスの影響で客足が遠のいた。マスク接客にも限界を感じ、今夏閉店を決めた。
 告知後は来店客が増えた。常連が置いた寄せ書きノートには感謝の言葉が並ぶ。単身赴任で静岡に来た5年前から通う会社員の男性(32)は「2人は『静岡のお父さんとお母さん』。故郷が恋しくなるような唯一無二の店だった」と惜しむ。
 開店前に行列ができるほどの盛況ぶりに「なんとなくさみしい! やっぱり仕事してないとだめだ」と政夫さん。最後の日までいつものように迎え入れようと、仕込みに励んでいる。

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