漁師ら雨畑ダム視察 由比港漁協、新たな要望書検討

 日本軽金属蒲原製造所(静岡市清水区)の放水路から駿河湾に濁水が流れ、サクラエビ漁師らが不漁との関係を危ぐしている問題で、由比港漁協の宮原淳一組合長ら関係者約20人は27日、濁水の発生源とされる雨畑ダム(山梨県早川町)を視察。堆砂率9割超のダム湖と周辺を見て回り、濁りの深刻さを実感した。

雨畑ダムを視察する由比港漁協の幹部ら=27日午前、山梨県早川町
雨畑ダムを視察する由比港漁協の幹部ら=27日午前、山梨県早川町

 漁協は、日軽金にダム管理の現状について現地での説明を申し入れていた。宮原組合長は取材に、濁水による生態系への影響調査などを盛り込んだ6月に提出済みの要望書に加え、「放水路沖の汚泥除去やきれいな水を海に流すよう求める新たな要望書の提出を検討する」と述べた。
 漁協職員らの現地視察は初めて。同社社員らの案内で、アーチ状の堤体の上を歩きながらダム湖の濁りを確認。上流の雨畑川の濁り具合を視察し、駿河湾に注ぐ放水路も見て回った。
 参加者によると、同社社員は「濁水は周辺の山が崩れ川に流入しているため」と説明。宮原組合長は視察後、「濁水の原因はダムなのか、周辺の崩れやすい地質なのか、日軽金との認識の差を改めて感じた」と話した。
 漁協によると、6月に提出した要望書に対し、日軽金は27日までに文書で回答した。しかし、内容は「必要に応じて行いたい」と述べるにとどまり「実質ゼロ回答」(宮原組合長)だったという。
 雨畑ダムは駿河湾サクラエビの不漁を受け、静岡、山梨両県が濁りの実態調査を進めている。ダム湖の濁水は水力発電用の導水管をなど経てサクラエビの産卵場のある駿河湾奥部に注いでいる。

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