知事「河川法クリア、協定の前提」 工事着手に許可必要

 リニア中央新幹線南アルプストンネル工事に伴う大井川の流量問題を巡り、川勝平太知事は19日の定例会見で、大井川直下を通過するトンネル工事には知事の許可権限である河川法が関わるとの認識を初めて示し「河川法に関する全てのことをクリアしないと(利水者とJR東海の)基本協定は結ばない」との見解を表明した。
 県が許可を出さないと工事には着手できないとの認識を示し、地元の意向に応じてトンネル湧水を全量回復すると方針を転換したJR側に対し、履行に向けた着実な対応を求めた格好だ。川勝知事は「(JRとの交渉材料に使う)姑息(こそく)な考えは持っていない」とも述べた。
 県は21日に流量問題の有識者会議を開き、河川法に関する事項についても意見を聴く方針。
 河川法は河川区域で橋などの工作物を新改築する際、河川管理者の許可を受けなければならないと規定。国の通達では「治水上または利水上の支障を生じる恐れがないこと」を許可の条件にしている。
 河川法は河川区域の上空と地下も含み、大井川源流域の地下約400メートルを通過するリニア中央新幹線のトンネル工事も許可の対象になる。県河川企画課によると、大井川源流域の導水路と非常口トンネルを含む計6カ所が当てはまる。県とJR東海は2016年から大井川とトンネルの交差位置について協議している。(2018年11月20日静岡新聞朝刊)

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞