JR「全量戻し」 静岡県、国交省に指導要望【大井川とリニア】

 リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、静岡県は18日、国土交通省専門家会議が9月26日の会議で示した「大井川水資源問題に関する中間報告(案)」に対する見解を同省に提出した。トンネル湧水の「全量戻し」の認識など6項目について問題点を指摘し、同省にJR東海を指導するよう求めた。
 県は「全量戻し」に関し、「工事後、工事中といった区別なく、全てのトンネル湧水」との認識。中間報告案にも、工事中に県外に流出する湧水を戻さない場合、「県が求めている全量戻しとはならない」と明記されている。一方、JRは「工事中を含まない」と主張している。
 工事中に県外に湧水が流出した場合の影響について、中間報告案では「山体内に貯蓄されている量も含めて導水路トンネルなどで大井川に戻すため、(中略)中下流域の地下水量への影響は極めて小さい」と盛り込まれた。これに対し、県は山体内の地下水位が低下すると「将来の水資源の安定性に影響が出る」との懸念を示した。JRが示した県外に流出した湧水の戻し方や、残土置き場の継続的な管理についても疑問を呈した。
 県は中間報告案について、専門家会議が「責任を持って記述するもので、文面の修正を求めない」方針。ただ、「JRが認識を改めなければ地元の理解は得られない」(県担当者)として、国交省がJRを指導する役割を果たすよう要請した。

 ■「大井川水資源問題に関する中間 報告(案)」に対する県の主な見解

 ・「全量戻し」は工事後、工事中の区別なく全ての湧水を戻すとの認識
 ・トンネル掘削で山体内の地下水位が低下すると、将来の水資源に影響する可能性がある
 ・県外に流出した湧水について、時間をかけて戻す方法は「全量戻し」にならない
 ・JRの流量予測(水収支解析)は南アルプスの地下水位への影響を解析するのに十分ではない

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