国交省専門家会議 第11回議事概要【大井川とリニア】

 国土交通省は20日までに、リニア中央新幹線工事に伴う大井川の水問題を議論する専門家会議の第11回会合(4月17日)の議事概要を公表した。JR東海が青函トンネルの例を紹介し、トンネル先端を掘削する際に大量に出る突発湧水の想定を説明した。委員は突発湧水の影響を軽減できるのか、中下流域の地下水の影響を事前に推定すべきなのかを中心に議論した。

国土交通省の第11回専門家会議での発言(ポイント)
国土交通省の第11回専門家会議での発言(ポイント)


 【突発湧水量の推定】
 二村亨JR東海中央新幹線推進本部次長「青函トンネルの事例は一つの想定結果で、突発湧水発生時の瞬間的な湧水量、継続時間、発生回数には不確実性がある。発生した場合の水資源利用への影響を及ぼす可能性は、重要度の高いリスクとして(資料に)記載の通りの対応を取る」
 大東憲二大同大教授「(資料に記載された)『さらなる湧水低減対策』の具体的な案を用意しておかないと、『ゼロから検討を始めます』では遅い。効果があまりない時に次のことを考えなければならない」
 西村和夫東京都立大理事「青函トンネルよりも突発湧水がもっと出た事例がある。地質構造が違うから、リニアの工区で地質構造をイメージしながら突発湧水の出方を推定する工学的判断ができる」

 【中下流域の地下水量への影響】
 丸井敦尚産業技術総合研究所招聘(しょうへい)研究員「中下流域をブロックごとに分けられないか。(地下水の)影響が大きいブロックとそうでもない所をしっかり見分ければ、何かあった時に問題が発生する地域はここら辺だということが推定できるのでモニタリング(観測)の重点ポイントにもなる」
 徳永朋祥東京大教授「(地下水の成分分析で)平均涵養(かんよう)標高という言葉が使われている。『800メートルぐらいの平均涵養標高』という言葉が続くと、800メートルの所で涵養した水が地下水に対する涵養になっていると取られかねない。平均涵養標高という言葉にしてしまうことが混乱を発生させないか」
 森下祐一静岡大客員教授「事前にできることをできるだけやっておくのは一つのスタンスではないか。流域住民だとすると(地下水量への影響が)河川流量の季節変動による影響に比べて極めて小さいとはどの程度か疑問に思う。季節変動はかなり大きいわけで、渇水期に(水位の)低下が起こった時に大丈夫なのか。トンネル掘削前に(流域全体の)評価システムが整っていることが必要だ」
 沖大幹東京大教授「影響が及ぶ可能性があるという概念を考えて、それが表現できる(地下水の影響予測の)モデルがないと意味がない。ただ、JRにとって中下流域のモデルを作ることには非常に意味がある。リスク管理として必要とされる」
 福岡捷二中央大教授「(中間報告案について)事務局には、私どもがこの会議でどういう考えで、JRを指導、助言したのかを私たちの立場になって原案を示してもらい、次回、それを中心にもう一回議論したい」
 

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