富士川の汚泥調査へ有識者会議 山梨知事、7月にも 実態把握に全力【サクラエビ異変 母なる富士川】

 富士川中下流域に高分子凝集剤入りポリマー汚泥が残留している問題で、山梨県の長崎幸太郎知事は27日、臨時記者会見を県庁で開き、7月にも高分子化学などの専門家による有識者会議を立ち上げ、ポリマー汚泥の堆積状況を調査すると明らかにした。20日の会見で表明していた実態把握に向けた調査の具体策を示した。

富士川水系に残留する高分子凝集剤入りポリマー汚泥の調査実施について会見する長崎幸太郎知事=27日午後、山梨県庁
富士川水系に残留する高分子凝集剤入りポリマー汚泥の調査実施について会見する長崎幸太郎知事=27日午後、山梨県庁
山梨県が表明したポリマー汚泥残留調査の内容
山梨県が表明したポリマー汚泥残留調査の内容
富士川水系に残留する高分子凝集剤入りポリマー汚泥の調査実施について会見する長崎幸太郎知事=27日午後、山梨県庁
山梨県が表明したポリマー汚泥残留調査の内容

 長崎知事は、富士川の河川環境改善に向け静岡県と連携することに合意したとし「まさにこの泥をどうするか。アクリルアミドポリマー(AAP)の蓄積をどうするか。取り組まないといけない」と、凝集剤成分の一つであるAAPの拡散状況の把握に全力を挙げる考えを示した。その上で「人工物による、本来自然にない泥をどう評価し、どうあるべき姿にしていくか。静岡県と一体となってやっていく」と強調した。
 山梨県大気水質保全課によると、6月にコンサル業者に発注し、業者から示された内容を基に調査方法を有識者会議で決める。秋までには泥のサンプル採取を行う方針で、現在、長年にわたり富士川水系雨畑川(早川町)で不法投棄を続けてきた採石業者ニッケイ工業が県に提出した書類などから、凝集剤の種類や量の特定を進めている。
 ただ、同社の当時の社長は県の元治水課長で、雨畑川は県管理の河川。県は、2019年5月の本社取材班による不法投棄報道にもかかわらず、投棄現場に堆積していた4400立方メートルを同社に撤去させ「撤去完了」を宣言。刑事告発も見送った経緯がある。県に対する情報開示請求によれば、同社は11年夏以降の8年間で500万立方メートルに上る汚水を発生させ、相当程度のポリマー汚泥を川に流していた実態が明らかになっている。
 長崎知事は河川管理者としての調査に透明性や中立性をどう確保するか明言はせず「変な調査をする、お手盛りをするということはない。ちゃんとやるという言葉を額面通り受け止めてほしい」と述べた。
 (「サクラエビ異変」取材班)

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