【リニア27年開業断念】大井川流域市町「早期着手と水資源保全を」/静岡市は工事計画提示を評価

 JR東海が29日、静岡県内で工事着手の見込みが立たないことを理由に2027年のリニア中央新幹線品川ー名古屋間開業断念を正式に表明したことについて、工事が予定される静岡市や大井川流域市町の首長は淡々と受け止めた。静岡市の難波喬司市長は、JRがリニア南アルプストンネル静岡工区工事の事業計画を示したことを評価し、ほかの首長からは、県内工事の早期着手と水資源の確実な保全の両立に向けて県や国に議論の迅速化を求める意見が相次いだ。

JR東海が2027年のリニア開業断念を正式に表明したことを受け、受け止めを述べる静岡市の難波喬司市長=29日午後、市役所静岡庁舎
JR東海が2027年のリニア開業断念を正式に表明したことを受け、受け止めを述べる静岡市の難波喬司市長=29日午後、市役所静岡庁舎
JR東海が2027年のリニア開業断念を正式に表明したことを受け、受け止めを述べる静岡市の難波喬司市長=29日午後、市役所静岡庁舎

 難波市長は、JRが静岡工区の工事スケジュールで、着手から完了までの期間をおよそ10年とするイメージ図を示したことについて「厳しい工事になるということを理解した上での発表だろう。非常に現実的ではないか」と評価した。
 静岡市は、県とは別の協議体でJRと環境影響評価に関する議論を続けている。難波市長は「静岡工区に早期着手するには、環境影響評価が適切かつ迅速に行われることが大事。できるだけ早期に結論を出せるよう努める」と述べた。
 大井川流域の島田市の染谷絹代市長はJRによる27年開業断念の表明を「現実的な判断で驚きはない」と受け止めた。大井川の表流水や地下水を利用して生活している流域10市町は、JRに水資源保全策の着実な実施を求めている。染谷市長は「流域の不安が払拭されるよう引き続き努力してもらいたい」と求め、そのためには、県内で高速長尺先進ボーリングを早期に実施し、湧水や地質の状況を把握することが重要だと従来の考えを述べた。
 中野弘道焼津市長は「JRと県、国とでしっかり話を詰めてほしい」と述べ、東海道新幹線の駅がある掛川市の久保田崇市長は、リニア開業に伴う新幹線の増便に期待しているとしつつ、大井川の水量と水質の保全を今後も求めていく姿勢を強調した。

いい茶0
あなたの静岡新聞 アプリ
地域再生大賞