独立人権機関の必要性訴え アイヌ民族巡り日弁連

 日弁連は19日、アイヌ民族の社会的地位の向上や権利擁護をテーマに、政府から独立した人権機関の必要性を考えるシンポジウムを札幌市で開き、オンラインも含めて約150人が参加した。

アイヌ民族を巡るシンポジウムで発言する当事者の宇梶静江さん(左から2人目)=19日午後、札幌市
アイヌ民族を巡るシンポジウムで発言する当事者の宇梶静江さん(左から2人目)=19日午後、札幌市

 小林美奈弁護士は、日本が国連から繰り返し独立した人権機関を設置するよう勧告されていることを挙げ、「人権侵害を調査、解決する実効性のある機関がなければ、日本の人権状況を国際水準に高めることは困難」と訴えた。
 2019年施行のアイヌ施策推進法は、アイヌを「先住民族」と明記し、文化の維持・振興への交付金制度を設けた。一方、07年に採択された国連の「先住民の権利に関する宣言」で民族の権利とされた自決権や教育権などは盛り込まれなかった。
 北海道浦幌町のアイヌ団体が川でのサケ捕獲権の確認を求めた訴訟の原告代理人市川守弘弁護士が講演。明治政府が自決権を持つアイヌの意思を無視して土地や資源を奪ったと指摘し、「歴史に基づく慣習と伝統によってアイヌ集団の権利は裏付けられる」と話した。
 当事者として参加したアイヌ民族の詩人宇梶静江さん(91)は「明治政府はいきなりアイヌから全てを奪ってしまった。いくつ裁判に負ければ、私たちは認められるのか」と憤った。

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