発掘の哺乳類化石、骨7割残る 岐阜、生態解明に期待

 岐阜県の瑞浪市化石博物館は11日、市内で約1650万年前の地層から発掘されていた海生哺乳類「パレオパラドキシア」の化石をクリーニングし、専門家が分析した結果、全身の約7割に当たる119点の骨が発見されたと発表した。保存状態が良く、生態の詳細な解明が期待できるとしている。

岐阜県瑞浪市で発掘された海生哺乳類「パレオパラドキシア」の化石の復元骨格イメージ(同市提供)
岐阜県瑞浪市で発掘された海生哺乳類「パレオパラドキシア」の化石の復元骨格イメージ(同市提供)

 博物館によると、良好な状態の頭骨を含み、生息時とほぼ同じ状態を保った骨格の発見は、福島県や埼玉県に次いで国内5例目。脚の一部は見つからなかった。
 体長2メートル弱で、後ろ足の筋肉が発達していることなどから、基本的に水中で生活していたとみられる。奥歯のすり減り具合や背骨などの端の軟骨がないことから、人間で75歳以上に相当する年老いた個体であることも判明した。
 国立科学博物館の甲能直樹グループ長(海生哺乳類化石)は「一個体の重要な部分がそろって出ており、研究上で一歩先に進める標本だ」と評価した。今後、より詳細な分類の特定を進めるとしている。
 化石は2022年6月、同市の土岐川で河川清掃をしていた住民らが見つけた。

 パレオパラドキシア 円柱を束ねたような歯が特徴の「束柱類」で、2300万~1200万年前、現在の日本や米国西海岸などに生息した。毛はなく、4本の脚があり、海を泳いで陸も歩いた。体長は平均2・3メートルほど、体重は約1トンとされる。1950年、岐阜県土岐市で初めて全身骨格が見つかった。詳しい生態はわかっておらず、謎の奇獣といわれている。日本を代表する古生物の一つ。

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