延期言及「五輪中止回避のため」 高橋被告が証言、IOCは否定

 東京五輪・パラリンピック組織委員会元理事で、汚職事件で受託収賄罪に問われている高橋治之被告(79)は、新型コロナウイルスの感染拡大による五輪への影響が懸念されていた2020年3月に米メディアで大会延期に言及したのは、中止という最悪の事態を避けるためだったと明らかにした。8日までに共同通信のインタビューで「国際オリンピック委員会(IOC)が中止を宣言するとの情報があった」と証言した。IOCは「全くの空想だ」と否定している。

インタビューに応じる東京五輪・パラリンピック大会組織委員会元理事の高橋治之被告=1日、東京都内
インタビューに応じる東京五輪・パラリンピック大会組織委員会元理事の高橋治之被告=1日、東京都内

 高橋被告は20年3月10日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)で「大会は中止されないと考えている」と言及した。延期なら1年か2年が現実的との私見も語った。関係機関が予定通りに開催する方針を維持していた当時、踏み込んだ発言が波紋を広げた。
 高橋被告は、独自の情報網でIOCの中止意向を把握し「早く手を打たないと中止になる」との危機感を抱いたと主張。巨額の放送権料でIOCを支えるNBCユニバーサルのお膝元、米国での発信が効果的と判断し「トランプ(前大統領)が読む新聞だから」と、同紙の取材に応じたとしている。
 高橋被告の発言直後、トランプ氏は大会の1年延期を提案し、当時の安倍晋三首相と電話会談。延期論が一気に加速し、20年3月24日、安倍氏はIOCのバッハ会長と電話会談し、1年程度延期することで一致した。

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