ボランティア拠点の運用開始 宿泊で被災地活動時間を確保

 石川県は26日、能登半島地震の一般ボランティア用に設置した宿泊拠点の運用を始めた。半島北部の穴水町にある廃校になった中学校の校舎を活用。ホテルの多い金沢市から日帰りで往復するのに比べて被災地での活動時間を確保できるため、参加者は歓迎する。一方で安全確認に時間がかかるといった事情から、活動領域は思うように広がっていない。

石川県穴水町に設置されたボランティアの宿泊拠点=26日午後
石川県穴水町に設置されたボランティアの宿泊拠点=26日午後

 穴水町比良の拠点には定員1~2人のテント95張りを用意。参加者は寝袋を持参し、2食分の食事代千円を払う。東京都大田区の会社員尾崎啓郎さん(52)は「雑魚寝だと思っていた。想像より居心地が良さそう」と満足げだった。
 県は一般ボランティアへの応募殺到を防ぐため、1月6日から受け付けを一元管理。2月22日時点で延べ3891人が活動するものの、作業時間確保が課題だった。
 県によると、輪島市など半島北部の4市町にアクセスしやすく、最も遠い珠洲市まででも移動は1時間半程度。担当者は「倍ほどの作業が可能になる」と期待する。
 一方で活動人数増につながるかどうかは不透明だ。県は派遣規模について市町の要請に従う方針で、輪島市は住民の流出や日程調整の煩雑さに加え、現地の安全を確認する事前調査に手間取り、思うように募集を増やせていない。
 市社会福祉協議会の荒木正稔介護福祉課長は「道路状況が改善すれば一気に活動が広がると思っていた」と唇をかむ。
 当初1週間の拠点利用は珠洲市と穴水町の参加者に限られ、26日は42人だった。県幹部は「走りながら改善していく」と語った。

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