H3ロケット打ち上げ成功 JAXA、失敗から1年

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は17日午前9時22分、国産新型ロケット「H3」の2号機を種子島宇宙センター(鹿児島県)から打ち上げた。昨年3月の1号機では失敗した2段目エンジンも正常に点火し、目標の軌道投入に成功した。飛行実証の主目的は達成された。搭載した性能確認用の模擬衛星と超小型衛星2機の分離も確認した。

模擬衛星と2機の超小型衛星を載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット2号機=17日午前9時22分(共同通信社ヘリから)
模擬衛星と2機の超小型衛星を載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット2号機=17日午前9時22分(共同通信社ヘリから)
H3ロケット2号機が見える公園で打ち上げを待つ親子=17日午前8時15分、鹿児島県南種子町
H3ロケット2号機が見える公園で打ち上げを待つ親子=17日午前8時15分、鹿児島県南種子町
鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、上昇するH3ロケット2号機=17日午前9時24分
鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、上昇するH3ロケット2号機=17日午前9時24分
H3ロケット2号機に搭載した超小型衛星が計画通り分離し、喜ぶJAXAと三菱重工業の関係者ら=17日午前9時39分、鹿児島県の種子島宇宙センター
H3ロケット2号機に搭載した超小型衛星が計画通り分離し、喜ぶJAXAと三菱重工業の関係者ら=17日午前9時39分、鹿児島県の種子島宇宙センター
模擬衛星と2機の超小型衛星を載せ、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられるH3ロケット2号機=17日午前9時22分(共同通信社ヘリから)
H3ロケット2号機が見える公園で打ち上げを待つ親子=17日午前8時15分、鹿児島県南種子町
鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、上昇するH3ロケット2号機=17日午前9時24分
H3ロケット2号機に搭載した超小型衛星が計画通り分離し、喜ぶJAXAと三菱重工業の関係者ら=17日午前9時39分、鹿児島県の種子島宇宙センター

 JAXAの山川宏理事長は記者会見し「計画通り飛行し、機体を所定の軌道に投入したことを確認した」と述べた。
 H3は離陸の約5分後に1段目を切り離し、2段目エンジンは正常に燃焼して順調に飛行を続けた。約17分後には、相乗りさせたキヤノン電子の光学衛星「CE―SAT―1E」を分離した。もう一つの超小型衛星「TIRSAT」も分離。2段目エンジンの再点火を経て、模擬衛星の分離試験を行った。
 H3はJAXAと三菱重工業が開発した2段式の液体燃料ロケットで、現在の主力「H2A」の後継機。1号機では新開発の主エンジンは作動したが、H2Aと共通部分も多い2段目エンジンが点火せず、失敗した。2号機には点火装置を改良するなど対策を取った。
 H3は今後20年、日本の宇宙輸送を担う基幹ロケットに位置付けられる。世界で需要が拡大する衛星打ち上げビジネスへの本格参入も視野に入れる。米主導の国際月探査「アルテミス」計画でも活用が見込まれる。
 2号機は全長57メートル、重さ約422トン。1号機と同じく新開発した主エンジン「LE―9」2基、固体ロケットブースター2本で打ち上げた。1号機失敗を踏まえ、当初予定した衛星実機ではなく性能確認用の模擬衛星を載せた。
 高市早苗宇宙政策担当相は17日、「わが国の宇宙政策の重要課題であるロケット打ち上げ能力の抜本的強化に向けた新たな一歩であり、大きな飛躍だ」とのコメントを発表した。

 H3ロケット 国産の大型ロケットで、柔軟性、高信頼性、低価格の要素を兼ね備えた使いやすさを目指している。1段目の主エンジンには、新たに開発した「LE―9」を採用。機体全体も大型化し、現在主力のH2Aよりも、大きく、重い衛星を打ち上げられる。市販品の利用や3Dプリンターを用いた部品の製造、小型ロケット「イプシロンS」と技術や部品を共通化することで、徹底した低コスト化を図る。名前の「H」は燃料に使う水素の元素記号に由来する。

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