DV被害者「子の安全守れない」 離婚後の共同親権に反対訴え

 法制審議会(法相の諮問機関)の部会で検討が進む離婚後の共同親権導入に関し、ドメスティックバイオレンス(DV)の被害者や支援者らのグループが16日、導入を柱とした要綱案の取りまとめに反対する記者会見を東京都内で開いた。共同親権ではDVや虐待被害が続き「子どもの安全が守れない」と訴えた。

離婚後の共同親権導入に反対する記者会見に出席した熊上崇教授=16日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ
離婚後の共同親権導入に反対する記者会見に出席した熊上崇教授=16日午後、東京・霞が関の司法記者クラブ

 元夫から無理やりの性行為や怒鳴るといった被害に遭ったひとり親の40代女性は「裁判所側は『子への暴力はない』として、子と元夫との面会交流を強制した。子は体に触られるなどして嫌悪感を抱き、自傷行為に及ぶようになった」と明かし「同じように、親権も共同にするよう強要されるのでは。怖い」と声を震わせた。
 同席した元家裁調査官の熊上崇・和光大教授は「壁を殴るなど、DVに当たるかどうか争いになることもある。『グレーだが黒ではない』という理由で共同親権が認められる恐れがある」と指摘した。
 法制審部会は昨年12月、離婚の際は父母が協議で共同親権か従来通りの単独親権かを決め、折り合えなければ家裁がDV・虐待の恐れも考慮した上でどちらにするか決めるとの要綱案の原案を提示。今月中の取りまとめを視野に議論している。

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