生成AI 法規制必要90% 不安59% 期待上回る 全国世論調査

 生成人工知能(AI)の個人情報流出や著作権侵害などのリスクに対応するため、法規制が必要だと考える人が計90%に達したことが、静岡新聞社加盟の日本世論調査会が3日まとめた全国郵送世論調査で分かった。法規制は必要ないとした計9%を大きく上回った。生成AIの普及に対し、不安が期待より大きいとした人は計59%に上り、期待が不安より大きいを選んだ計40%を超えた。

生成AIに対する望ましい規制
生成AIに対する望ましい規制
生成AI普及への期待と不安
生成AI普及への期待と不安
生成AIに対する望ましい規制
生成AI普及への期待と不安

 欧州連合(EU)は包括的な法規制により違反企業に巨額の制裁金を科す見通しだが、日本はAI開発の萎縮を恐れて罰則のないガイドライン(指針)でリスクの抑制を狙う。法規制に踏み込まない対応が適切かどうか議論を呼びそうだ。
 規制については32%が「法的に厳しい規制が必要」、58%が「法的にある程度の規制が必要」。「業界の自主規制でよい」は7%、「規制は一切必要ない」は1%に過ぎなかった。
 2021年の調査では、AIを活用した製品やサービスが広がることに期待が不安より大きいとした人は計70%に上り、不安が期待より大きい人の計29%を上回っていた。22年以降の生成AIの急速な普及が不安を拡大させた可能性がある。
 生成AIへの不安を二つまで尋ねると47%が偽情報や誤情報の流布、36%が過度な依存による知性の低下、29%が進化したAIの暴走を挙げた。生成AIに期待することを二つまで聞くと仕事の効率化による人手不足解消が59%と最も多く、人間のミスによるトラブルの減少が48%と続いた。
 生成AIの活用の是非を分野ごとに尋ねると「翻訳」は87%、「問い合わせなど顧客対応」は63%が活用してもよいと答えた。活用すべきではないとの回答が多かったのは「経営での意思決定」(63%)「病気の診断など医療行為」(55%)。
 文学や音楽など芸術作品の創作過程で生成AIを利用した場合、「明示は必要」は86%となり、「明示は必要ない」は13%だった。小中高生や大学生が宿題や課題を解くのに利用を容認する人は計49%で、禁止を求める計50%と拮抗(きっこう)した。
 生成AIは計52%が認知し、利用経験者は20%。仕事で利用または利用を検討している人は計18%で、使途は文章の要約、翻訳や情報収集が目立った。
 調査は昨年11~12月、18歳以上の男女3千人を対象に実施した。

 生成AI 利用者の指示で文章や画像、音声を作り出す人工知能(AI)。米新興企業オープンAIが開発した対話型AI「チャットGPT」が知られている。ITの専門知識を持たなくても、感想文やイラストを手軽に作成できる。利用者は急増し、書類やプログラム作成に利用する企業も多い。偽情報の流布に悪用されたり、知的財産権を侵害したりする懸念があり、欧米や日本ではルール作りの議論が進んでいる。

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