JAXAにサイバー攻撃 機微な情報閲覧の可能性

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)が今年夏ごろにサイバー攻撃を受け、宇宙関連技術の機微な情報が閲覧された可能性があることが29日、関係者への取材で分かった。秋ごろに攻撃を覚知した警察当局がJAXAに連絡したという。現段階で攻撃元や被害状況は明らかになっておらず、政府や関係機関が連携して詳しい状況を調べている。

JAXAの山川宏理事長=17日
JAXAの山川宏理事長=17日
JAXAのロゴ
JAXAのロゴ
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 松野博一官房長官は29日の記者会見で、JAXAの管理用サーバーが不正アクセスを受けた可能性が高いことを確認したと明らかにした。JAXAが不正アクセスに関連する一部のネットワークを遮断したとし「当該ネットワークではロケットや衛星の運用などの機微な情報は扱われていないと報告を受けた」と述べた。
 関係者によると、JAXAのネットワークを一元管理している「アクティブディレクトリ」と呼ばれる機能を持つサーバーが不正アクセスを受け、攻撃者側が内部の幅広い情報にアクセスした疑いがあるという。
 警察当局から連絡があるまで、JAXAは攻撃に気付いておらず、所管省庁の文部科学省などと連携し、侵入経路やセキュリティーシステムの脆弱性についても確認を進めている。
 JAXAは、政府の宇宙開発利用を担う中核組織で、ロケットや人工衛星などに関する技術情報を保有している。担当者は「現時点で外部への情報流出は確認されていない」としている。
 JAXAを巡っては、16、17年に、中国による情報窃取目的とみられるサイバー攻撃の標的とされたことがある。警視庁は21年4月、この攻撃に使われたレンタルサーバーを偽名契約したとして、私電磁的記録不正作出・同供用容疑で中国共産党員の男を書類送検し、中国軍が攻撃に関与した疑いを指摘した。

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