自民税調、所得減税の議論着手 低所得者に現金給付、年末決定

 自民党税制調査会は23日、非公式の幹部会合を党本部で開き、岸田文雄首相が検討を指示した所得税減税の具体策の議論に着手した。一定額を納税額から差し引く「定額減税」方式を軸に話し合い、減税の規模や期間、対象者を詰め、年末に決定する2024年度の税制改正大綱に盛り込む。所得税を納めていない低所得者や高齢の非課税世帯には現金を給付するなどの対策を講じる。

自民党税制調査会が開いた非公式の幹部会合を終えた宮沢洋一会長=23日午後、東京・永田町の党本部
自民党税制調査会が開いた非公式の幹部会合を終えた宮沢洋一会長=23日午後、東京・永田町の党本部

 政府は11月2日の閣議決定を目指す経済対策に所得税の減税方針を明記する考えだ。具体策は自民、公明両党の税制調査会が年末にかけて議論して決めるが、経済対策に合わせて一定の方向性を示す可能性もある。防衛力強化に充てる財源を確保するための法人、所得、たばこの3税の増税開始を25年以降に先送りすることも検討課題になる。減税と同時では、家計負担を軽減する物価高対策にならないためだ。
 幹部会は非公開で行われ、宮沢洋一会長、林芳正前外相、加藤勝信前厚生労働相らが出席した。所得税減税には、納税額から一定割合を差し引く「定率減税」方式もあるが、所得が多いほど減税額が大きくなるため、好ましくないとみている。
 24年度の税制改正では、賃上げや国内投資に積極的な企業向けの減税も論点となる。ほかに、同じ会社に長く勤めるほど退職金への課税が優遇される制度を見直すかどうか検討し、新たに高校生に月額1万円の児童手当を支給する代わりに、扶養する親族が16~18歳の場合、年収から38万円を差し引いて所得税の納税額を少なくする扶養控除の在り方も議論する。

 自民党税制調査会 国と地方の税制改正を議論する自民党の組織。秋から議論を本格化し、連立与党を組む公明党の税制調査会と連携して、年末に「与党税制改正大綱」を取りまとめる。政府は与党税制改正大綱に沿って法案を作成し、年明けの通常国会に提出する。税制に詳しい有力議員が「インナー」と呼ばれる税制調査会の幹部に就き、幹部だけの非公式会合で議論の方向性を固めることが多い。

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