任天堂「マリオ」事業を強化 11年ぶり新作、映画ヒット

 任天堂が人気ゲームのキャラクター「マリオ」を活用した事業を強化している。20日に約11年ぶりに完全新作のゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」を発売。4月に公開したアニメ映画は世界的な大ヒットとなり、マリオの認知度を一層高めた。家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の販売が低調な中、業績回復の起爆剤と見込む。

京都市の任天堂直営店の外にある「マリオ」のフォトスポット=12日
京都市の任天堂直営店の外にある「マリオ」のフォトスポット=12日
「スーパーマリオ」など人気ゲームの関連商品が並ぶ、任天堂の直営店「ニンテンドーオオサカ」=2022年11月、大阪・梅田
「スーパーマリオ」など人気ゲームの関連商品が並ぶ、任天堂の直営店「ニンテンドーオオサカ」=2022年11月、大阪・梅田
京都市の任天堂直営店の外にある「マリオ」のフォトスポット=12日
「スーパーマリオ」など人気ゲームの関連商品が並ぶ、任天堂の直営店「ニンテンドーオオサカ」=2022年11月、大阪・梅田

 新作のワンダーは、敵やわなを避けながらゴールを目指すストーリーで、特定のアイテムを得るとマリオがゾウの姿に変身する新機能を搭載した。スイッチ向けでダウンロード版は6500円。17日には創業地の京都に直営のグッズ販売店の3店舗目がオープンし、限定商品を販売している。
 マリオのライセンスビジネスにも注力し、2021年にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)に、マリオの世界を再現した新エリアが開業。今年4月に公開した映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」は、アニメ映画の世界興行収入歴代2位となる記録的なヒットになった。
 任天堂の古川俊太郎社長は5月の会見で「映画をきっかけに、スイッチやソフト販売にも良い影響を及ぼす」と述べた。
 任天堂の業績は振るわず、23年3月期連結決算の純利益は9・4%減の4327億円。主力商品のスイッチは発売から6年が経過し、販売の頭打ちが課題だ。任天堂はゲーム専用機が中核事業だが、スマートフォン向けゲームの台頭が続く。キャラクタービジネスの裾野を広げ、多角的に収益を伸ばす方針だ。
 マリオは1981年に任天堂のゲーム「ドンキーコング」で登場。85年に「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」のソフト「スーパーマリオブラザーズ」が累計4024万本と記録的な大ヒットとなった。その後もファンを獲得してきた。

 【マリオ】 任天堂のゲーム「ドンキーコング」で1981年に初登場したキャラクター。同社代表取締役フェローの宮本茂氏がデザインした。大きな鼻、赤い帽子と青いオーバーオールを着た姿が特徴。職業は配管工で、双子の弟「ルイージ」がいる。長年、声優を務めてきたチャールズ・マーティネー氏が引退し、20日発売のワンダーからケビン・アフガニ氏に交代した。

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