ガザ地上侵攻へ部隊増強 イスラエル軍、陸海空の攻撃連携
【エルサレム共同】イスラエル軍は15日までに、イスラム組織ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザへの地上侵攻に向け、ガザ境界付近で地上部隊の増強を進めた。ガザを包囲し、空爆や砲撃を継続。軍報道官は14日、地上作戦に重点を置き、陸海空の攻撃を連携させると説明した。ガザでは北部住民の南部への避難が難航。水や燃料が不足し、人道危機が深刻化している。双方の死者は計3700人以上になった。
AP通信などによると、米国務省報道官は15日、中東歴訪中のブリンケン国務長官が16日に再びイスラエルを訪れる予定だと明らかにした。外国人のガザからエジプトへの退避などを協議するとみられる。
イスラエル軍は過去最多の予備役兵36万人を招集。13日には今回の戦闘で初の限定的な地上作戦を行ったと発表した。15日もガザ北部の住民に南部へのルートを示し、同日午前10時~午後1時(日本時間午後4時~同7時)に避難するよう求めた。既に数十万人が避難したとも指摘した。国連によると避難対象は約110万人。負傷者など移動が難しい住民も多く、地上侵攻に踏み切れば民間人の犠牲が拡大する恐れがある。
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は14日、ガザ住民のほぼ全員に当たる200万人以上が水不足に直面し、人道支援物資の搬入も認められていないと説明。「生死の問題になり始めている」と訴えた。
イスラエルのメディアによると、同国当局は15日、ガザ南部への水供給を再開したと表明した。
ガザ保健当局によるとガザ側死者は2450人。イスラエル軍によると同国側は約1300人。
オースティン米国防長官は14日、空母打撃群の東地中海への追加派遣を指示したと発表した。イランやレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの抑止を強化する。
イスラエル北部のレバノンとの国境付近では15日もイスラエル軍とヒズボラの衝突が発生。軍はレバノンとの国境地帯を軍事地区として閉鎖すると発表した。シリア国営通信によると、シリア北部アレッポの空港には14日深夜、イスラエル軍の攻撃があった。