ハッカー集団 米カジノにサイバー攻撃 情報漏れか、脆弱性懸念【大型サイド】

 米カジノ運営大手が今月、相次いでサイバー攻撃を受けた。システムがダウンし、スロットマシンの使用や併設ホテルのオンライン予約ができなくなるなど問題が続出。営業に支障はないと発表した社もあるが、ハッカー集団に金銭を支払ったと報じられ、顧客情報が漏えいした可能性も。日本でカジノ開業が近づく中、セキュリティーの脆弱性に懸念も出ている。

米ラスベガスにあるカジノのスロットマシンに表示されたエラーメッセージ=12日(K・M・キャノン/ラスベガス・レビュージャーナル提供、AP=共同)
米ラスベガスにあるカジノのスロットマシンに表示されたエラーメッセージ=12日(K・M・キャノン/ラスベガス・レビュージャーナル提供、AP=共同)
MGM系列のカジノ併設ホテル=20日、米ラスベガス(AP=共同)
MGM系列のカジノ併設ホテル=20日、米ラスベガス(AP=共同)
米ラスベガスのカジノにあるスロットマシンに表示された「使用停止」のメッセージ(マデリン・カーター/ラスベガス・レビュージャーナル提供、AP=共同)
米ラスベガスのカジノにあるスロットマシンに表示された「使用停止」のメッセージ(マデリン・カーター/ラスベガス・レビュージャーナル提供、AP=共同)
米ラスベガスにあるカジノのスロットマシンに表示されたエラーメッセージ=12日(K・M・キャノン/ラスベガス・レビュージャーナル提供、AP=共同)
MGM系列のカジノ併設ホテル=20日、米ラスベガス(AP=共同)
米ラスベガスのカジノにあるスロットマシンに表示された「使用停止」のメッセージ(マデリン・カーター/ラスベガス・レビュージャーナル提供、AP=共同)

 「カオスだ。他も同じような状況みたい」。西部ネバダ州ラスベガスのカジノで14日、エラーで動かなくなったスロットマシンが並ぶ動画を英国から新婚旅行に来たという女性がX(旧ツイッター)に投稿した。
 このカジノを運営するのはMGMリゾーツ・インターナショナルで、大阪市で開業準備が進む統合型リゾート施設(IR)にも携わる。米メディアによると、クレジットカード決済や、電子キーを使ったホテルの部屋への入室に支障が出たと訴える利用者もいた。
 MGMは復旧作業を進め、20日の声明で「通常営業」に戻ったと発表した。しかし、その時点でホームページには「電子キーは現在使えない」「現金決済の方がスムーズ」と書かれており、影響は尾を引いたようだ。
 米最大のカジノ運営企業シーザーズ・エンターテインメントも7日に攻撃を受けていたことが証券取引委員会(SEC)に提出した報告書で判明。同社は「営業に影響はない」と主張する一方、身分証明として扱われる「社会保障番号」や運転免許証など顧客の個人情報を含むデータベースに侵入されたと報告した。
 両社に仕掛けられたのは、身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」とみられる。米メディアはハッカー集団「スキャタード・スパイダー」の犯行で、シーザーズは1500万ドル(約22億円)を支払ったと報じた。シーザーズはSECに「盗まれたデータの削除の手順を踏んでいるが、結果は保証できない」と説明し、深刻さをうかがわせた。
 ワシントン・ポスト紙は情報セキュリティー会社の専門家の話として、多くの組織間で膨大な量の個人情報がやりとりされているため「全ての抜け穴をふさぐのは難しい」と報じ、サイバー攻撃に対する脆弱性が増していると警鐘を鳴らした。(ロサンゼルス共同=井上浩志)

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