遺体の安置、施設不足は26% 葬儀場調査、長期化も懸念

 全国の葬儀事業者の26%で、火葬の順番待ちなどのために遺体を安置する施設が不足していることが、公益社団法人「全日本墓園協会」(東京)の調査で分かった。年間死者数の増加が主な要因。施設の老朽化などの背景もあり、調査担当者は「安置場所不足の問題はこれから深刻化していく」と、受け入れの拡充を訴えている。

葬儀場の遺体受け入れ施設について
葬儀場の遺体受け入れ施設について

 協会は、業界団体の協力を得て、昨年8~9月にアンケートを実施し、771の葬儀事業者が回答。うち26・7%が、主たる葬儀場に関して「(安置施設が)不足している」とした。
 理由(複数回答)は「葬儀件数の増加」が最も多く、他は「設備が整っていない」や「施設の老朽化」などだった。代わりの待機場所は「遺族の自宅」が突出していた。
 安置の目的(複数回答)は「葬儀の日程調整」が最多で、「火葬の予約待ち」、「遺族がそろうまで待機」と続いた。
 数日にわたり安置することがあると回答した葬儀事業者へ平均期間を尋ねると、「半日~3日以下」が84・2%で大半を占めた。一方、「3日超」と比較的長期になったのは15・8%。地域別で見ると、「3日超」は首都圏を含む東日本で22・5%となり、西日本の2・5%を大きく引き離した。
 全日本墓園協会の横田睦理事(58)は「まだ多死社会の入り口に差しかかった段階で、これから深刻化していく。病院や介護施設でも受け入れられるような形を考えていかなければならない」と指摘した。

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