マツケンサンバブーム再燃 きらきら世界、若者に浸透 カフェ異例の人気【スクランブル】
「第2次マツケンサンバブーム」が起きている。歌手で俳優の松平健さん(69)の大ヒット曲「マツケンサンバ2」のきらきらした情熱的な世界観が、動画投稿サイトや交流サイト(SNS)を通じて若い世代に浸透。モチーフにしたカフェやグッズショップが異例の人気を見せている。
「上様のご登場です」。東京・渋谷パルコで5月に期間限定オープンしたカフェ「ビバ マツケンサンバ2ワールドカフェ オレ!」。スタッフがデザートのボウルを卓上に置いてふたを開けると、女性客が拍手した。
ツイッターで店の情報を知り訪れた東京都内の20代女性会社員は“上様”の写真が載ったピザや飲み物を、友人と手でつくったハートと共に撮影。「インスタ(グラム)に上げよ。ギラギラがかわいくて心に刺さる~」と盛り上がった。
当初、カフェの事前予約整理券はわずか2日間で完売。オープン期間が7月10日まで延長され、名古屋、大阪での巡回開催も決まった。
マツケンサンバの最初のブームは2004~05年、CDが50万枚以上売れた。再燃は20年。ユーチューブでのミュージックビデオ公開が契機だ。かつて幼稚園や小学校で踊った子どもたちが大人になり、懐かしむ。
熱を受けて開発された写真映えする商品が、SNSでバズる(話題が拡散される)ことで、10~20代女性に新たなファン層が生まれている。
渋谷パルコでは昨年12月から1月、約60種類のグッズを期間限定で販売する「ポップアップショップ」を開設。店舗企画の宣伝担当者は「想定の倍以上が売れました。完売商品が相次ぎ、売る物が無くなった時もある」と振り返る。6月には札幌で追加開催される。
女性チームが開発したちょんまげ姿のマツケンが載る「アクリル前髪クリップ」(1100円)はSNS上で特に注目された。「縁起物」と喜ばれ、担当者は「(マツケンが)アイコン化してきていますね」と話す。
音楽マーケッターの臼井孝さん(54)は松平さんのタレントとしての存在感が新型コロナウイルス禍を経て上がったと分析する。「日本を元気にする象徴的存在になったのではないか。口ずさみやすい楽曲で老若男女が無条件に騒げます。ご本人が道化に徹し、『マツケン』というキャラクターが際立ったことでグッズ化にもつながりやすかった」と見る。
松平さんはカフェで取材に応じ、第2次ブームを「すごく戸惑い、驚いておりますね。不思議な感じです」。3年余りコロナ禍があり「皆さんずいぶんと辛抱され、たまった思いをそろそろ発散したいという時期と重なりました。明るく笑顔になってもらいたいという思いは変わりません」。