マイナカード トラブル続々、高まる不信 成立間近の法案に影響も【大型サイド】

 マイナンバーカードを巡り、個人情報流出につながるトラブルが相次いでいる。住民票のコンビニ交付、健康保険証とマイナカードが一体化したマイナ保険証に続き、公金受取口座とのひも付けでも判明。保険証を廃止してマイナカードに一本化し、マイナンバーの使途も広げる改正法案の成立を間近に控えていたが、国会審議に影響しかねない事態に。国民の不信は高まっており、有識者は政府が説明責任を果たすべきだと訴える。

マイナカードを巡る最近の主なトラブル
マイナカードを巡る最近の主なトラブル

 ▽陳謝
 「個人情報保護に関する国民の信頼を傷つけることになり、大変申し訳ない」。河野太郎デジタル相は23日の衆院の委員会で陳謝した。
 カードを巡っては、医療保険を運営する健康保険組合などによる誤登録で、別人の医療情報がひも付けられていた事例が約7300件あったことが判明。マイナ保険証利用時に閲覧できる状態になっていた。コンビニでカードを用いて住民票の写しなどの交付を受けられるサービスで、別人の証明書が発行された事案が明るみに出たばかりだった。
 政府は自治体にコンビニ交付の不具合の確認を要請。健保組合など全ての保険者にも点検を求めるなど再発防止の取り組みを進めようとしているところだった。
 ▽火消し
 給付金などの公金の受取口座とマイナンバーをひも付ける手続きで他人の口座が登録されるトラブルは、政府が火消しに追われる中で明らかになった。カード取得者専用サイト「マイナポータル」で一時的に他人の口座情報を見ることもできたという。
 政府は行政のデジタル化を進めるため、保険証の廃止や、社会保障と税、災害対策に限られているマイナンバーの利用範囲を行政書士や美容師といった国家資格の手続きに広げることを盛り込んだマイナンバー法など関連法改正案を提出している。衆院を通過し、参院の委員会採決を近く控えていた。
 法案に反対する野党は「マイナカードを巡るトラブルが多すぎる」「国民の不安が高まっている」と批判を強める。デジタル庁関係者は「今国会で何としてでも成立させたい」と強調するが、強まる野党の攻勢に「採決の見通しが立たなくなった」と漏らす。
 マイナンバー制度に詳しい日本総合研究所の岩崎薫里上席主任研究員は「日本はデジタル化が遅れており、法案には国民の利便性が高まる内容が多く含まれている」と必要性を指摘する。一方で「国民の理解を得るには丁寧な説明が欠かせない」とし、トラブルの原因や対応も含め、政府が説明を尽くすべきだと話した。

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