富士山のように盛り上がった生地に、レモンチョコレートをたっぷりとかけます。3月12日のしずおか産は焼き菓子「クグロフ」です。手掛けたのは浜松市中央区の焼き菓子店「ピラット」の伊藤優司さんです。
<ピラット 伊藤優司さん>
「クグロフというお菓子はヨーロッパの伝統菓子。レモンケーキの生地を使ってピラット流にアレンジした」
フランスやドイツ、オーストリアなどで特別な日に食べることが多いクグロフ。王冠のような形が特徴ですが、作り方はシンプルです。
一般的なクグロフの材料や作り方はパンに近いのですが、ピラットでは他との違いを出すためフィナンシェに近いレシピなんだそうです。
<伊藤優司さん>
「気温や気候に応じて材料の温度や混ぜ方を都度調整して、生地のしっとり感が続くようにこだわっています」
レモンケーキ風に仕上げたピラットのクグロフ最大の特徴はこの食材です。
<伊藤優司さん>
「レモンの皮を削ったもので僕らは『ゼスト』と呼んでいるんですけど、レモンの香りの成分が凝縮されているので、これなしでは作れない」「浜北の『えなみ農園』のレモンを使っています」
味や香りの決め手となるフルーツは世界が認めた農園がつくりました。
<伊藤優司さん>
「おはようございます。ピラットです」
<えなみ農園 江南徳行さん>
「すげぇ」
3月12日、伊藤さんが訪れたのは浜松市浜名区で柑橘類を栽培しているえなみ農園です。
<江南徳行さん>
「酸っぱさがいいね。これだけレモンの生きているケーキはなかなかない」
えなみ農園は柑橘を栽培するだけでなく自家製のマーマレードが世界大会で何度も金賞を受賞しています。そんな優れた農園を知り、レモンを仕入れてみた伊藤さんは衝撃を受けたと話します。
<伊藤優司さん>
「すごく凝縮された香りと、グリーンレモンでスパイシーな香りもしていて、ピラットが他にない味を求めているというコンセプトなので、すごくマッチするんじゃないかと」
<江南徳行さん>
「すごく上手にうちの特性を生かしてくれている。濃さとか酸味の強さなんかも、食べて柑橘が負けないというのを意識してくれているのがうれしい」
地元の良いものを使って差別化を図る。特別なレモンとの出合いでピラットの目指すクグロフが具現化されました。
えなみ農園のレモンを混ぜ込んだ生地を独特なフォルムの型に流し込んで両面を焼き、仕上げにチョコをかけるとクグロフが仕上がります。
<伊藤優司さん>
「浜松で育ったので浜松が好き。生産者のことはあまり詳しくなかったが、お店を始めて浜松にはおいしいものがたくさんあると気づいた。どんどんいろんな人に発信したいという気持ちもある」
ピラットには他にも地元のコーヒー豆店や茶農家などとコラボした独特なクグロフが並んでいます。伊藤さんは今後も生産者との輪を広げて新たなクグロフの開発に挑みたいと意気込んでいます。
お店の名前「ピラット」はフランス語で海賊という意味です。ちょっと物騒に聞こえるかもしれませんが、新たな味を発見しに行くという店のコンセプトが込められています。
Pirate 店舗情報
住所:浜松市中央区新屋町205-5
営業時間:11:00-18:00
定休日:火曜日-木曜日