日本の主食、コメの値上がりが止まりません。そこで農林水産省は初めて、備蓄米21万トンを市場に放出することを決め、15万トンを対象にした入札を3月13日、終えました。準備が進む備蓄米の放出。コメの価格は今後どうなるのでしょうか。
静岡県内を中心に約40店舗を展開する「鐘庵」です。特に人気なのが、掛川小笠PA店。その理由は。
<客>
「もう食べ放題がありがたい」
人気なのが、ごはんとカレーの食べ放題。この店舗限定のサービスです。
<鐘庵 大鐘正敏会長>
「ここはドライバーや営業職の方が多いので、その人におなか一杯食べてもらう趣旨で15年以上続けている。お客さんは非常に喜んでもらっていて、1人当たり500グラムぐらい食べる」
この店だけで、年間約12トンのコメを扱っています。契約農家から直接仕入れていますが、その価格も2024年の初めころと比べ、約4割近く上がっているといいます。
<鐘庵 大鐘正敏会長>
「周りを見ても食べ放題を徐々にやめているなかで、これだけは続けていこうとやっている最中なんですけど苦しいのは間違いない」
農水省によると直近1週間、スーパーで販売されたコメ5キロ当たりの平均価格は3952円でした。
【2025年2月24日~3月2日】平均価格 3952円
【2024年2月26日~3月3日】平均価格 2030円
※農水省HPより
2024年の同じ時期と比べて、倍近く値上がりしていて、家庭にも大きな影響を及ぼしています。スーパーをのぞいてみると…
<田子重西中原店 柴田英昭副店長>
「こちらがお米の売り場になります。現状こういうかたちで、品薄なこともありまして、品切れしている商品が多くなっている」
こちらのスーパーでは、コメ自体の入荷が減り、価格も2024年と比べ、3割から4割ほど上がっているといいます。
こうしたなかコメ価格の値下がりに期待がかかるのが備蓄米の放出です。農水省はコメの流通を円滑にする目的で、初めて備蓄米の放出を決め、このうち、15万トンの入札を行いました。落札された備蓄米は3月下旬ごろからスーパーの店頭や飲食店に出回る見通しです。
<柴田副店長>
「どういったコメが来るかというのは、情報が少ないですが、安く提供できるのではないか」
消費者からは、期待の声が聞かれます。
<客>
「味が良ければいいんじゃないですか。期待しています」
「あまり期待はしないけど、これ以上はお米の値段が上がらないといいなと」
備蓄米が世の中に出回ることで価格の上昇に歯止めがかかるのか。JA静岡経済連の担当者は今後の動き次第だと話します。
<JA静岡経済連食糧部 長橋隆史部長>
「お米を量販店に卸すのは米穀卸さんですので、備蓄米をどう使うかによって(かわる)。私たちとしても値段は注視している」
一方で、流通量は増えるため、一時期のような店からコメが消えてしまう心配は減ると話します。
<長橋部長>
「絶対量として(15万トン)出すわけですので、流通的には今よりもスムーズになるのかなと」
日本人にとって大切な主食の高騰。価格を気にせずにお米を食べられる日は果たしてやってくるのでしょうか。
今回、JA静岡経済連は備蓄米の入札には参加せず、県内に流通させる量を確保するため、全農に入札を委託しました。そのため、県内にどれだけの米が流通するのかは未定だということです。