東日本大震災の発生から3月11日で14年。静岡県内では9日、津波を想定した避難訓練が各地で行われました。想定を超える津波からどう逃げるのか、住民たちが課題を再確認しました。
「訓練、地震発生。ただいま大規模な地震が発生しました」
浜松市の弁天島地区で行われた津波避難訓練です。南海トラフ巨大地震を想定し、住民約100人が高い建物にのぼり、避難にかかる時間などを確認しました。
<参加した女性住民>
「いざ、大津波が来た時に自分が焦ることなく、避難できるように参加すべきだなと思った」
<参加した男性住民>
「いつ、南海トラフが起こるかわからないので日ごろから準備していきたいなと思っている」
東日本大震災の発生から14年。静岡県内の沿岸部では、避難タワーや命山などの整備が進みました。さらに、浜松市の遠州灘海岸に作られた長さ17・5キロに及ぶ巨大な防潮堤は、同市内の津波に襲われる面積を8割ほど減らす効果があるといいます。
しかし、防潮堤だけでは、津波は、防ぎきれません。浜名湖に囲まれた弁天島地区は、その名の通り「島」のような地形です。津波があらゆる方向から襲ってくるのではと、自主防災隊長は心配します。
<舞阪町第一弁天島自主防災隊 小楠悦孝隊長>
「この辺りは町内で一番低い所で1.2メートル。狭い通路だと潮がガンと上がったり。逆に浜名湖の奥から返って来る波があったり」
南海トラフ巨大地震では、浜名湖の今切口には10メートル前後の住宅地のエリアには、2メートル前後の津波が20分以内に押し寄せると想定されています。
<小楠隊長>
「子どもが少なくなってきているし、高齢化も進んでいる。避難ビルで3~5階に上がること自体が難しい方もいらっしゃいる」
逃げる場所が限られる中、住民の高齢化が課題となっています。
下田市西中地区の訓練では、2年前に建築された民間の集合住宅の屋上に住民約40人が避難しました。下田湾から2キロほど離れた西中地区。直接、海を見ることはできませんが、津波が川をさかのぼり襲ってくると想定されています。東日本大震災でも津波は、河口から遠く離れた内陸部にまで猛威を振るいました。
<避難訓練に参加した男性住民>
「今までは向こうに見える山のほうに避難していたが、このビルができてから随分近くなって、高齢で足の悪い方もここなら近く大変助かっている」
<下田市中一区自主防災 土屋隆央防災委員>
「僕も東日本大震災の時にこの地区にいて、川を見たら真っ黒い津波が怒涛のように押し寄せて来たのを覚えている。いつ起きるか分からないけれど、逃げる準備を整えてもらいたい」
震災から14年。地震や津波への意識を高く持ち続けることができるのか、問われています。