リニア中央新幹線の工事を巡る大井川の水資源への影響などについて、JR東海による流域での住民説明会が静岡県島田市で始まりました。会場ではJR東海の姿勢を評価しながらも水問題に対する不安を口にする市民もいました。
3月7日午前10時から静岡県島田市で開かれたのはJR東海による住民説明会です。JR東海が大井川流域での住民向けの説明会を開くのは初めてで、JRにとっては重要な局面となります。
リニア中央新幹線の工事を巡り、JR東海は2024年11月の大井川流域の市長・町長との意見交換会をふまえ、3月7日から4月にかけて流域10の市や町での開催を決めました。
説明会では、大井川の水資源に関するJR東海の取り組みについてパネルや映像で紹介しながら、住民からの質問に直接応じる「オープンハウス形式」です。
<JR東海丹羽俊介社長>
「水資源に関して懸念を抱いていらっしゃる流域の皆さまがいらっしゃいます。こういった方の懸念を解消していくために大変重要なことであると考えております」
流域での説明会について、県のトップは。
<鈴木康友 静岡県知事>
「リニア中央新幹線の事業について、住民の皆さまの理解を深めるためにはいい取り組みではないかと思っています。率直にいろいろな質問をすることができますし、双方のコミュニケーションが取れますので」
大井川の水は、流域の暮らしや産業に欠かせない「命の水」。JR東海は住民の理解を得てリニアの早期着工につなげたい狙いがあります。
<参加者>
「少し安心しましたね。土砂の処理とか、少し懸念は持っていたけど、内容はよかったです。まだ全部吹っ切れたわけではないけど、いいと思います。(JR東海には)今やっている検査などをきちっと続けてもらいたい」
説明会を開いたJR東海の姿勢を評価しながらも「水問題」を懸念する声が。
<参加者>
「JR東海の職員の方に色々解説していただいて、専門的なことなので100%理解できたわけではありませんが、水資源のことがあやふやではっきりしないのが不安材料」
夕方には、島田市の染谷絹代市長も会場を訪れ、職員と一緒に会場をまわりパネルの説明を受けました。
<染谷絹代島田市長>
「ひとつでも理解が進んだならよかった。これからもいろんな場所で、こうした説明会はやっていただきたい」
初回の説明会を終えたJR東海は。
<JR東海中央新幹線静岡工場事務所 永長隆昭所長>
「こういったような取り組みを通じて、少しでもご心配の皆様の声を伺いながら理解を深めていただけるよう努めていかなければならないと痛感した」
JR東海によりますと、3月7日の1日で約100人が来場したということです。JR東海は3月9日、島田市の2回目の住民説明会を開催、4月末までにすべての流域市町で実施する予定です。