高齢化が進むなか、ますます必要とされる介護職員。2026年度、全国で約25万人が不足すると見込まれていて、2040年度になると、その数は倍以上の約57万人になるとされています。静岡県内の介護現場ではICTの活用などこれまでとは違うやり方でこの状況を乗り越えようとしています。
静岡県富士宮市の介護老人保健施設「みゆきの苑」です。
<介護職員>
「きょうもお洋服が素敵ですね。いつもおしゃれだから」
<入所者>
「そんなことない」
こちらには109人の入所者がいます。介護職員や看護師、リハビリスタッフなど、1日平均36人程度が働いています。一見、行き届いた勤務体制に見えますがー。
<みゆきの苑 副施設長 小見山直之さん>
「どの分野においても人手不足。人口減少に伴って新たにどんどん職員が、働いてくれる人ってどんどん減ってくると思っていますので」
働き手の増加が見込めない中、この施設が2025年1月から取り入れたのが、情報通信機器を使ったコミュニケーションです。
<みゆきの苑 副介護長 鈴木美紀さん>
「ベットのマットレスの下にこちらのアームスというセンサーが導入されています。心拍や呼吸というところで、ご本人様がいま寝ている状況が映し出されています」
センサーがついたマットを敷くだけで、呼吸や体の動きなどの情報が送られ、サーバーを経由して離れた場所でも確認することができます。職員は、限られた人数で業務をこなしながらも、ICTの活用でより目の行き届いた環境作りができるといいます。
<入所者 清晴代さん(93)>
「ありがたいですね、本当ね」
<記者>
「いつでも晴代さんの状態を見て駆けつけてくれる」
<入所者 清晴代さん(93)>
「そういうわけだね。じゃあ安心していられるね」
<清さんの孫>
「見守りの精度が上がってくるというか、家族としても安心してお任せできるというところがありますね」
<みゆきの苑 副介護長 鈴木さん>
「人と人の触れ合いは大事になってくると思いますが、こういったICTの導入ということで私たちの業務の負担が減ったり、また他の業務に充てることができるということで本当にメリットしかないのかなという風に考えています」
さらに現場の職員も動き始めています。みゆきの苑で働く2人が出向いたのは、市内で子どもたちの学習支援をしている場所です。若い世代に介護の仕事に興味を持ってもらおうと、体験会の参加を呼び掛けています。
<みゆきの苑 理学療法士 植松一樹さん>
「実際に調べるだけっていうところと体験するっていうところだと経験値がかなり違うと思うので、その辺でぜひ活用していただければ、福祉、介護という業界に対して発展ができるのかなと思っています」
<講師 入戸野恭子さん>
「介護の仕事ってどういう仕事だと思います?」
<参加者>
「トイレの介助だったり、入浴介助、食事の介助、お話相手」
2025年1月、県が開いたのは介護職員を支える「介護サポーター」の研修です。介護サポーターに資格を必要としない業務を担当してもらうことで、介護職員がより専門的な業務に専念できるようになります。参加者のほとんどは、介護の分野で働いたことはありません。
<藤浪能理子さん>
「何も分からないので、やってみたい。知りたいって思いました。できることがあればやってみたいなと思いますね」
研修から1か月後。
<藤浪さん>
「三つ折りですか?二つ折りですか?」
<星の郷介護職員 海瀬早記さん>
「三つ折りで大丈夫です」
以前はまったく違う職種で働いていた藤浪さん。特別養護老人ホームで働き始めていました。
<海瀬さん>
「助かります。どうしても介護職は介護メインというか利用者さんとの関わりを多く持ちたい中で、サポートしてもらえるのはすごくありがたいです」
<藤浪さん>
「資格があるわけではないのでサポーターとして入るっていうことだったので、介護職の方たちがよかった、手伝ってもらってよかったって言っていただけるようになればうれしい」