静岡が誇る海の幸・マグロですが、骨や皮など食用に適さない部分が多くあります。貴重な資源をあますことなく使おうと、静岡県焼津市の企業が取り組んでいます。
年間水揚げ量約2万トン、国内トップを誇る静岡のマグロ。スーパーなどに出荷するため、加工場で切り落とされる頭や骨、皮などの部分は、全体の半分ほどになるともいわれています。
2025年で創業60年を迎える「焼津ミール」は、焼津市の内外からマグロの残さを集め、有効活用するために加工しています。
<焼津ミール岡崎憲親工場長>
Q. 1日どれぐらい集まる?
「日によってまちまちだが(1日で)最大で240トンを処理できる。新鮮なうちにその日のうちに処理をする」
集められたマグロの残さは、粉砕機で細かく砕かれ、蒸気で加熱したあと、圧搾機で固形分と油分に分けられます。固形物は「魚粉」として、養殖魚の餌や肥料として利用されます。一方、油分は純度の高い「魚油」になります。マグロの残さから精製した魚油は、全国に出荷され、健康食品やサプリメントの原料になります。
<ニッスイ食品機能科学研究所 山岸容子研究員>
「原料の扱いを工夫していただいて、一定の品質レベルのマグロの油を供給していただくと、その後の行程も非常に助かる」
静岡のマグロを余すことなく使い切る。焼津ミールのモットーはずばり、「資源の有効活用」です。
<焼津ミール長房敏郎会長>
「本当に完全に加工すれば、出るのは水だけ。魚の形がなくなっても、他のものに、油と魚粉とかエキスにして最後までリサイクルすると、『フィッシュをフィニッシュまで』ということでこれからも続けていきたい」