わたしたちの生活に大きな影響を与える春闘が本格的にスタートしています。静岡県内の労働組合でつくる連合静岡は、高水準の賃上げを目標に掲げていますが、中小企業にとっては難しい判断となりそうです。
<連合静岡 角山雅典会長>
「賃金は上がるんだと、上がるものなんだといった機運の醸成を。県内の働く者、生活者の皆さんに訴えがけをさせて頂きたい」
2月27日開いた会見で「物価高を超える賃上げが必要」と意気込んだ連合静岡の角山雅典会長。2025年の春闘について、全体では定期昇給分も含め5%以上の賃上げを、中小企業に対しては定期昇給分も含め、6%以上の賃上げを目標に掲げました。
<角山会長>
「昨年、一昨年とようやく賃上げの機運が高まってきた。この流れを止めることなくですね「定着」をしていく、そんなところをしっかりとやっていきたい」
賃上げムードが高まる中、やはり課題となるのは中小企業の対応です。ここ数年を見ると全体の賃上げ率は少しずつ増加しています。

しかし、中小企業は大手と比べると低く推移していて、2024年は1%近く差が出る状況となりました。
連合側は、企業が「価格転嫁」できる状況を作っていくことが重要だと訴えます。
<連合静岡 角山雅典会長>
「良いものにはいい値段がつくという、このマインドを消費者も変えていくことが必要だと思う。やはり物価を超える賃上げがなければそういう意識にはならないので、連合としても皆さんに訴えていきたい」
そうした中、県内でも賃上げに取り組む企業が出てきています。家庭用の消臭剤や業務用の消臭シャワーなどを手掛ける企業「ハルインダストリ」は、3月の給料から平均4.3%の賃上げを実施するといいます。社員の士気を上げてよい循環をつくっていきたいと話します。
<ハル・インダストリ 松浦令一社長>
「社員の幸せというのはすごく大事だと思うので、業績を上げていくことによって賃上げできていくというのは常にやりたいと思っている」
しかし、売り上げが不安定な中小企業にとって、賃金のベースアップは相当な決断がいります。
<松浦社長>
「ベースアップというのはやはり中小企業にとっては、かなり慎重にやらないと、一旦上げたら下げることはできない。会社というのは常に危機と向き合っているので、ベースを上げるということは、どれだけリスクがあるというのは身にしみて感じている。経営者としての判断というのはすごい難しいことを要求されているような気がしている」
私たちにとって今年は暖かな春となるのでしょうか。