「大きな決断と理解する」再稼働目指し「浜岡原発」の防波壁を28mにかさ上げへ 中部電力が原子力規制委員会に説明 原子炉建屋などの審査も並行で

中部電力は11月13日、原子力規制委員会を訪ね、浜岡原発の防波壁を28メートルの高さまでかさ上げする方針を伝えました。一方、原子力規制委員会は、中部電力の要請を受け、原子炉建屋などプラントの審査も並行して進める方針を示しました。

都内で行われた原子力規制委員会との意見交換会には、中部電力の林欣吾社長など幹部が参加しました。中部電力が再稼働を目指す浜岡原発の3号機と4号機について新たな提案が出されました。

<中部電力 林欣吾社長>
「海抜22メートルの既設の防波堤を28メートルにかさ上げし、丈夫な構造になるように設計方針を変更したいと考えております」

中部電力は、浜岡原発の防波壁を海抜22メートルの高さから28メートルにかさ上げする方針を示しました。

再稼働の前提となる原子力規制委員会の審査では、南海トラフ巨大地震で海底での地滑りが重なり合った場合、最大規模の津波=「基準津波」が25.2メートルの高さに達するとした中部電力の評価を「おおむね妥当」と判断しています。

福島第一原発の事故を教訓に定められた新規制基準では、原発の敷地内が津波で浸水しない「ドライサイト」を原則としています。そこで中部電力は「基準津波」を上回るよう防波堤の上部4メートルの鋼鉄製の板などをいったん撤去し、新たに10メートル分を乗せする考えを示しました。

<原子力規制委員会 杉山智之委員>
「(防潮堤を)さらに高くするということでかなり大きな決断とは理解する。今後きちんとご説明をいただく」

意見交換会で、中部電力は、建屋や設備などプラントの審査の再開も要望しました。原子力規制委員会はこの要望を了承し、今後、プラントの審査も並行して進められることが決まりました。

<中部電力 林欣吾社長>
「プラント審査が始まって、変更許可の認可まで、他社のプラントの進行状況や実績を見ておりますと、2年程度かかっております。我々も、最終的にこの新基準への適合性確認をいただけるように全力で取り組む」

<LIVEしずおか 水野涼子キャスター>
原発の再稼働をめぐって11月13日は、全国でも大きな動きがありました。福井県の敦賀原発2号機は原子力規制委員会による審査の結果、不合格となりました。原子炉の真下に活断層があることを否定できないことなどが理由でした。

一方、先月起動したものの機器のトラブルで停止していた宮城県の女川原発2号機について、東北電力は、13日午前、再び原子炉を起動させました。週内にも発電を始め、12月頃の営業運転再開を目指しています。

浜岡原発は、女川原発と同じ仕組みの「沸騰水型」の原発です。中部電力は防波壁のかさ上げなど新たな対策をすることで審査の合格を目指しますが、まだ時間がかかりそうです。

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