老朽化などにより一部が解体される静岡県沼津市の「沼津アーケード名店街」で建物の見学会が開かれました。ライフスタイルの変化で、まちが姿を変える中、70年の歴史を惜しむ多くの人が集まりました。
JR沼津駅と沼津港の間に位置する「沼津アーケード名店街」です。70年の歴史がありますが、老朽化などを理由に、10月以降、一部が解体されることが決まっています。解体を前に、地元の人たちが見学会を開きました。
<70代女性>
Q.見学してどうだった?
「懐かしい。すごく。残念だけどね、でも、上がもうボロボロになっちゃったらね」
「沼津アーケード名店街」は、戦後間もない1954年に当時としては珍しい防火機能を備えた商店街として誕生しました。
特徴は建物の2階以上がせり出していて、アーケードの屋根の役割をしている構造です。雨の日も、濡れずに買い物ができると多くの人が訪れました。
しかし、誕生から約70年経ったいま、客足はまばらです。アーケード名店街は近くに百貨店ができたことや後継者不足、建物の老朽化などにより徐々に衰退。2006年に再開発が検討され始め、一部の取り壊しが決まりました。
<20代女性>
「沼津で生まれたので、小さい頃見たことはあって、思い出の場所がなくなってしまうのはやっぱり寂しいなと感じる」
一方で、多くの人が訪れる場所を目指した新しい街づくりも着実に進んでいます。
<町方町・通横町第一地区市街地再開発組合 水口隆太理事長>
「昔からの商店街はこの先、かなり厳しくなってくると思う。商業だけでなく、居住プラス、産業、事業というような空間を作り出していくのが、中心市街地に求められているテーマじゃないかと思っている」
目指すのは、住まいや商業施設など、生活に必要なサービスが集まった「コンパクトシティ」。アーケード名店街の一部が取り壊された後、この場所には、2028年春に地下2階、地上10階建ての居住スペースを持つビルが建てられる予定です。ライフスタイルの変化とともに街が姿を変えています。