「きょうも強化」夏の甲子園で体現60年ぶり 勝利の掛西ナインをまとめる山下陸人主将 さわやかな笑顔で“先輩”に報告=静岡

京都代表・京都国際高校が、劇的なタイブレークを制し初優勝で幕を閉じた、夏の甲子園から3日。試合とは打って変わって、高校生らしいさわやかな笑顔で静岡県の掛川市役所を訪れたのは、60年ぶりに夏の甲子園で1勝を挙げた静岡代表・掛川西高校の野球部だ。

8月26日、掛川市長で同高OBの久保田市長らを尋ねた。

<掛川西高校 山下陸人主将(3年)>
「大観衆のなかで皆さんと一緒に野球ができたことは一生の宝物となったと思います」

市長を前に、こう振り返ったのは、掛西に60年ぶりの勝利もたらした山下陸人主将だ。山下主将に、甲子園での一番の思い出を尋ねると、意外な言葉が返って来た。

「大声援です」

夏の甲子園は、高校スポーツの中でも特に注目を集める大会で、連日、試合の中継がテレビで放送される。選手たちの活躍に負けず劣らず「掛西の大声援」は世の中をざわつかせた。ネット上には「声量がハンパない」「鳥肌立った」「応援の迫力、去年の慶応並みに凄まじい」と驚きの声があふれ、それは市民にも伝播している。

<掛川市 久保田崇市長>
「皆さんの活躍が掛川市民にどれほどの力を、勇気と希望を与えたかと思うと本当に素晴らしい。私たちにとっても忘れられない夏になりました」

地元のパブリックビューイング会場には2試合あわせて400人弱の人が集まった。

<掛川西高校 山下陸人主将(3年)>
「(打席を待つ)ベンチにいても鳥肌が立つような応援でした。甲子園から戻ってからも、道を歩いていても声をかけていただく。暖かい人たちに支えられたと感じる」

その熱量に応えるべくプレーする選手たちには、それだけの魅力がある。

チームをまとめた山下主将

2024年の掛西野球部はチームスローガンは「泥臭く」「全員野球」。さらに夏の大会から「きょうも強化」を加えた。

初戦の山梨代表・日本航空戦では、同点の7回、2アウトランナーなしから打線がつながり、4番・堀口泰徳選手のタイムリーヒットで勝ち越し、一挙4点を奪ってリードを広げた。

山下主将は、このシーンを挙げスローガンを体現できたと話す。

<掛川西高校 山下陸人主将(3年)>
「チームが一つになり、チームスローガンを体現できた」

試合は2人目の増井俊介投手が、リード後も無失点に抑え勝利した。

今後は弁護士を目指す増井投手

増井投手は入学時、部活動の選択を卓球と野球で迷っていたという。4月の体験入部では、「練習についていけない不安があった」と卓球部に入るつもりだったという。それでも大石卓哉監督からの誘いをうけ、部活動の登録最終日に届けを提出し、野球部に入った。

<掛川西高校 増井俊介投手(3年)>
「これまで野球と勉強の二刀流を目指してきました。今後は、弁護士を目指しています。監督さんの言葉がなければ、この仲間とともに、甲子園という素晴らしい経験もできなかった。感謝でいっぱい」

掛川西高校大石卓哉監督「あの時決断をしてくれてよかった。増井は入学後の3年間、県内のなかで一番成長した選手」

新主将に託された思い

新主将には甲子園で6安打と爆発した2年生の鈴木脩平選手が就任し、すでに新チームの練習をスタートさせている。鈴木選手は「3年生は背中で引っ張てくれた選手が多かった」と話し、この夏は1日でも長く「3年生とプレーをしたい」と思い頑張っていたと振り返った。

甲子園での経験を、かならず今後に生かすー

<掛川西高校 鈴木脩平新主将(2年)>
「秋の東海大会で優勝することを目標にしています。また甲子園にもどり輝きたい」

<掛川西高校 山下陸人主将(3年)>
「叶えられなかったベスト8の目標を後輩たちにたくし、さらなる高い目標をはかなえてほしい」

新チームは「きょうも強化」のスローガンを受け継ぐことになった。この夏、掛西ナインが甲子園で成し遂げた60年ぶりの1勝。3年生の中にはプロ野球を目指し、大学でプレーを希望する選手もいるという。大声援のもと闘った経験を生かし「きょうも強化」の気持ちで、さらなる夢や目標をかなえてほしい。

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

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