わたしの街から 長泉町下土狩地区
長泉町の下土狩地区にある注目スポット「鮎壺(あゆつぼ)の滝」。「富士見の滝」とも呼ばれ、溶岩の間から流れ落ちる滝と富士山の“共演”が楽しめます。町が2025年の供用開始に向けて滝を囲む「鮎壺公園」の再整備計画を進めるなど、滝を生かした地域づくりが始まっています。
〈静岡新聞社東部総局・菊地真生、山川侑哉〉
鮎壺公園再整備 2025年供用開始へ 芝生広場、カフェなど構想
JR下土狩駅から徒歩5分、マンションが並ぶ住宅街に突然、高さ9メートル、幅約65メートルの鮎壺の滝が現れる。沼津市との境界をなす黄瀬川中流に位置し、約1万年前に富士山から流れた三島溶岩流の南西端にあたる。周辺は「鮎壺公園」として整備され、町民や観光客に親しまれている。
その鮎壺公園が今、新しい姿に変わろうとしている。公園横にある軽自動車検査場の移転が決まり、18年に整備計画の検討が始まった。町は住民とワークショップを重ね、住民と観光客がともに集える面積1・7ヘクタールの公園整備を構想する。多目的の芝生広場の整備、大型バスが待機できる駐車場への拡充、カフェや売店の導入―などの意見が上がっているという。
町はJR三島駅から下土狩駅につながる道路を花で彩る緑化計画も進めている。2駅と鮎壺公園を含むエリアを面として捉え、町の玄関口としての機能強化を図る考えを示す。
再整備した鮎壺公園のイメージパース案
下土狩駅前商店街に新風 町の起業支援事業でショップオープン
かつて「伊豆の玄関口」と呼ばれたJR下土狩駅前商店街で、活性化に向けた動きが始まった。コロナ禍の今夏、空き店舗を生かした実験的な店舗がオープンし、駅前に新しい風を吹き込んでいる。
駅前の活性化策として町が取り組むのが空き店舗を借り上げる起業支援事業。今夏には事業の一環で、同町のデザイナー君山正好さん(49)が商店街に事務所兼ショップ「デザインルームNo.4541」を開業した。店には地元作家の手作りアクセサリーや地元野菜、バナナジュースやパンなど県東部の個人店の逸品が集まり、早くも町民らのファンを集めている。
「野菜を買いに来る地元民からアーティストまで、いろんな人が集まる」と君山さん。近くで働く事務職の岸奈津子さん(52)は「焼き菓子も弁当もおいしい。なかなか行けない店の商品を、昼休みに買えるのがうれしい」と歓迎する。
君山さんはショップをきっかけに、商店街に新たな個人店が開業することを期待する。「今、個人の店を持ちたい若者は多い。駅前を回遊する人の流れを作りたい」と意気込む。
1個千円の高級ハンバーグ 1カ月待ちの人気 駅前商店街・後藤精肉店
4代にわたり下土狩駅前通り商店街に店舗を構える後藤精肉店は9月、1個千円の高級ハンバーグ「肉王」=写真=を発売した。10月現在、1カ月待ちの人気を誇る。コロナ禍の影響で飲食店や和牛の生産農家が打撃を受ける中、「おうち時間を豊かにする商品を提案しよう」と三島の人気フレンチ「gawa Mishima」と1年半かけて開発した。企画した同精肉店の後藤朋子さん(52)は「肉そのもので勝負した」と魅力を強調する。
5個5400円。問い合わせは同精肉店<電055(986)1798>へ。
〈記事はいずれも「2021.10.7 あなたの静岡新聞」から〉