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コロナ禍 新様式で入社式

 新年度が始まった1日、静岡県内企業の多くが入社式を行い、新入社員を迎え入れました。新型コロナウイルスの感染が拡大する中での求職活動となった今春卒業の大学生の就職状況や企業の新卒採用計画と併せてお届けします。
 〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉

オンライン、分散、PCR事前実施…新スタイルで式典

 新年度の1日、静岡県内企業が実施した入社式は、オンラインを活用した会場の分散やPCR検査の事前実施など、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した新スタイルの式典で顔合わせの場を設け、経営トップらが期待の言葉を投げ掛けた。

明電舎が沼津市内に会場を移して開催した本社採用者の入社式=1日午前
明電舎が沼津市内に会場を移して開催した本社採用者の入社式=1日午前
 TOKAIグループは、静岡市葵区の会場と県内外の事業所19拠点をテレビ会議システムでつなぎ、分散形式で開催した。会場には新入社員125人の代表13人が出席し、大型スクリーンにオンライン出席者の映像を映し出して一体感を出した。
 大卒と高卒合わせて188人が入社したヤマハ発動機は前年と同様、全員での式は行わず、磐田市の本社で複数の部屋に分かれ、オンラインで日高祥博社長の訓示を聞いた。全新入社員には2週間前から検温や体調、行動の記録、同居家族の健康状態などの報告を求めたという。595人が入社したスズキも浜松市南区の本社のほか、オンラインも使って複数の寮や工場で分散開催した。
 大勢が集う会場での感染リスクを避けるため、式典前にPCR検査を取り入れる企業も目立った。河合楽器製作所は新入社員21人にPCR検査キットを事前配布して、陰性を確認。昨年は規模を縮小した上で社外で式典を行ったが、今年はコロナ前まで例年実施していた浜松市中区の本社内に会場を戻した。清水銀行グループや鈴与もPCR検査を事前に実施して陰性を確認した上で、対面形式で行った。
 明電舎は、例年都内で実施していた本社採用者73人の入社式を沼津市に変更した。首都圏の感染者数が高止まりしている現状を踏まえ、新入社員らの研修施設を有する同市に初めて会場を移した。明電舎の新入社員、山田智子さん(22)=静岡大卒=は「就職活動はオンラインが多く、会社に足を運ぶこともほとんどできなかったので、対面での入社式に臨めてうれしい。一日も早く自立して、社会に貢献したい」と意気込んだ。
(2021/04/02)

富士信用金庫は30年ぶりに高卒男子採用

 富士信用金庫(浅見祐司理事長)は1日、新規採用職員の入庫式を同信金本部で開き、男女27人がコロナ禍における地域社会への貢献を誓った。

地域社会への貢献を誓う新入職員代表=富士市の富士信用金庫
地域社会への貢献を誓う新入職員代表=富士市の富士信用金庫
 浅見理事長は「金融界でもデジタル化への対応は急務だが、高齢化の中でお客様に寄り添う役割の重要性も増す。デジタルと対面の両輪で事業を進める。皆さんは適応力と多様性を身につけてほしい」とあいさつした。新入職員代表の吉野良紀さんは「地域密着の精神を胸に、コロナ禍においても企業や人々を支えることが使命。地域社会の繁栄に貢献したい」と述べた。
 同金庫は30年ぶりに高卒の男性職員2人を採用するなど地元学生を例年の1・5倍採用。25人が営業店に配属され、本部配属の2人のうち、金融商品の販売管理強化に向けた「預かり資産管理課」に1人を配置した。
(2021/04/02)

今春卒の大学生、就職内定率はコロナで減少

 静岡労働局が3月1日発表した2021年3月卒業予定の県内大学生の就職内定率(1月末現在)は、82・8%と前年同期を4・8ポイント下回った。7割を切った昨年11月末時点の69・5%(8・3ポイント下降)から徐々に上向いているが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う先行き不透明感などから企業が採用を絞り込む動きもあり、学生優位の売り手市場に陰りがうかがえる。

静岡県内大学生の就職内定率の推移(1月末時点)
静岡県内大学生の就職内定率の推移(1月末時点)
 県内13大学の学生からの届け出状況をまとめた。短大(6校)は3・8ポイント下降の75・5%、専修学校(15校抽出)は2・9ポイント下降の86・4%だった。
 県内大学生の内定率はリーマン・ショックの影響を受けた10年春の新卒以降一時大きく落ち込んだが、企業業績の持ち直しや人手不足を背景に回復基調が続いていた。
 21年春卒の大学生らは、コロナ禍での企業説明会や関連イベントの中止、選考のオンライン化など、前年までとは異なる環境下での就職活動を余儀なくされた。インターンシップ(就業体験)などを通じて早期に内定を得ていた学生と、コロナ禍の影響を受けた就活生の二極化も目立つ。静岡労働局の谷直樹局長は「希望する職種が新型コロナの影響を受け、進路希望を変更して就職活動しているケースも多い」とする。
 同日発表した県内高校生の就職内定率(1月末現在)は前年同期比0・5ポイント下降の95・5%減だった。新型コロナ禍の影響で求人数は22・4%減少したが、学生が進学に切り替える動きなどもあり内定率はほぼ前年並みになった。
 産業別求人は、宿泊飲食サービス(前年同期比52・9%減)、製造業(27・0%減)、運輸郵便業(23・8%減)の減少が目立った。
(2021/03/02)

2022年は「21年並み」が最多 静岡県内主要企業

 静岡新聞社が静岡県内主要企業30社を対象に実施した新卒採用計画に関するアンケートによると、今春(2021年春)採用予定の内定者数は7割超にあたる22社が前年(20年春卒)実績を下回った。企業説明会の正式解禁で3月1日から本格始動する22年春の採用計画は、「21年春並み」が12社(前年同期17社)で最多だった。

静岡県内主要企業の新卒採用計画と実績
静岡県内主要企業の新卒採用計画と実績
  新型コロナウイルス感染拡大に伴う先行き不透明感を背景に、21年春に採用数を減らした企業が、22年春も採用を絞り込んでいる傾向が浮かんだ。
  22年春採用を「増やす」は5社(同4社)、「減らす」は2社(同3社)で、「検討中」とした企業は11社(同6社)だった。
  増やす企業のうち、ハマキョウレックスは事業拡大のため21年春に続き、採用を拡大する。河合楽器製作所は「年齢構成バランス維持」のため40人程度を計画する。焼津水産化学工業は、「21年春採用が計画数に達しなかった」として採用を増やす。
  一方、減らす企業のヤマハ発動機は、即戦力確保を目的とした中途採用を拡充するため、新卒は21年内定者より13人少ない175人程度を予定する。静岡鉄道は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う業績の悪化を要因に上げた。
  22年採用計画への新型コロナ感染拡大の影響は、「影響している」「やや影響してる」が計15社。業績変化に伴う採用計画の見直しのほか、「選考活動へのオンライン導入で、学生の人となりを判断する情報が乏しく見極めが難しくなっている」との声も上がった。
  就職支援財団(静岡市葵区)の鈴木寿彦事務局長は「内定者数よりも人材の質を重視し、計画数に達しなくても学生に求める選考基準は下げない厳選採用の傾向が大手企業を中心に強まっている」とする。

 ■選考早期化進む
 大学生らの採用スケジュールは21年春卒生以降、経団連から政府主導のルールに移行した。会社説明会などの広報解禁が3月以降、面接などの選考が6月以降、正式な内定発令が10月以降としているが、実質的な採用活動は早期化が進んでいる。アンケートでは8社が「採用時期を前年より早めた」と回答した。
  採用を早期に行う理由は「採用の早期化が進んでいる」「優秀な人材を早めに確保するため」など。「コロナの影響を見据え、早めに選考を進める」という企業もあった。
  面接など選考開始は、「3月」が8社で最多。過半数が6月の正式解禁前に選考活動を始めるとし、最初に内定を出す時期は「4月」が8社で最も多かった。「1月以前」に選考活動を始め、すでに内定を出している企業も2社あった。
(2021/02/28)