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「急須ない」首都圏20代男性の8割超 静岡県が飲用実態調査 オフィス需要掘り起こし狙う

 20代男性の8割以上は急須を持っていない-。静岡県が首都圏の消費者を対象に行った茶の飲用実態調査で、若年層のリーフ茶離れの傾向が明らかになった。県は、ペットボトルやティーバッグなどへの飲用形態の多様化が消費低迷の一因と分析。「消費拡大には、オフィスでの消費や新たな飲用習慣の提案が必要」と指摘する。

急須の年代別所持率
急須の年代別所持率

 調査は首都圏のオフィスワーカー500人(男女各250人)に実施。家庭におけるドリンクの飲用種別や職場での緑茶の消費実態を調べた。年代別・性別の急須所持率は、50代女性の60・3%が最高で、40代女性46・0%、50代男性41・3%と続く。女性は20代(25・8%)が最も低く、男女ともに若年層の急須離れが顕著だった。
 都内で茶や茶器の小売店「茶雑菓」を運営する茶関連包装資材メーカー吉村(東京)の橋本久美子社長は「茶どころ静岡と都市部では茶への意識が全く異なる」と指摘。その上で「都市部はリーフ茶になじみのない層が大多数。この層をエントリーユーザーとしてつかめるかに業界の将来がかかっている」と強調する。
 急須で茶を飲む層が減少している背景には、緑茶の消費形態の変化がある。1982年に缶入り茶、1990年にはペットボトル茶が発売され、家庭内に加えて屋外でも飲用可能になった。県は「この変化が20~30代の急須所持率の低さと相関性がある」とみる。
 潮流はオフィスでの茶消費にも及ぶ。首都圏に本社を置く350社への調査では、外部来訪者に提供する飲料は緑茶(84・6%)が最も多く、ミネラルウオーター(55・1%)やコーヒー(28・2%)より優位にある。ただ、緑茶の提供方法はペットボトル(68・2%)が主流で、急須(9・1%)は1割に満たない。
 県は調査結果を踏まえた消費拡大策として昨年度、NTT西日本静岡支店の各オフィスで呈茶・販売イベントを開催。社員が生産者と対面しながら緑茶の香りや滋味を味わった。本年度は実施企業を広げ、職場での茶消費の掘り起こしを進める。
 (経済部・垣内健吾)

 茶支出額「リーフ減、ペットボトル増」続く
 総務省の家計調査(全国の2人以上の世帯)によると、2023年の緑茶(リーフ茶)購入量は前年比3.5%減の676グラム、支出額は1.5%減の3214円。購入量、支出額ともに3年連続で前年を下回り、支出額はピークの00年から半減している。
 一方、ペットボトルなど茶飲料の支出額は上昇傾向が続く。07年には緑茶を逆転し、23年には8290円まで伸長。支出額では茶飲料が緑茶を上回り続けている。

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