アバター共生社会解説 せいしんビジネスク 静岡で新春講演会
静清信用金庫の取引先の若手経営者や後継者で組織するせいしんビジネスクラブの新春講演会がこのほど、静岡市内で開かれ、大阪大基礎工学研究科の石黒浩教授が「人間とロボットが共生する未来社会」と題して講演した。人がロボットやCGを通じて自らのアバター(分身)を活用し、労働や医療、教育など多分野の制約を解消する新たな社会の可能性を解説した。
物事の認識に膨大なデータが必要になる人工知能(AI)に対し、少ない情報で認識可能な人間の脳は「繊細、複雑にできている」と説明。自ら経験し、考えて行動するAIやロボットの研究開発を日本の取り組むべき課題とし、自律行動に必要な意図や欲求、良心をロボットに組み込む重要性も説いた。人の知識、言葉などを読み込んだロボットの映像を示し、「人間よりも優秀。こうした技術をいかに生活に取り入れるか」と述べた。
その上でアバターの意義を強調。AIとの融合で個別教育や専門医療が場所を問わず受けられるほか、障害の有無や身体的な特徴に関わらず高度な活動が可能になるとした。既にCGのアバターがコンビニの自動レジに導入されるなど、「人々の労働を自由にする。新たな社会の形成につながる」と語った。